SIDE:A / SIDE:B

 もう授業どころではなかった。
 運良く指名されることもなく、順調に授業は消費していった。
 制止したまま動かない状態のオレを見た2人は、敢えて触れないように放置してくれた。

 一度考え始めると、思考の海に沈んでしまう。
 自分は一体、何を目指していたのか。
 何のために、皐月中央高校に進学したかったのか。
 ここが全ての始まりで、ここから先が暗闇の中だ。
 オレは―――――強豪校でバスケットボールがしたかった。
 ずっと一緒に頑張ってきた、光世や颯真と全国大会に出場できるほどのチームを作り上げ、インターハイで、ウィンターカップで活躍して、地元のプロバスケットボールチームに入って、リーグ優勝する。夢のような夢物語で、バカなようなバカな目標を掲げていた。そして、今までと同じように、莉緒と一緒に登下校して、いつも一緒にいたいと願っていた。そんな高校生活を送りたいと思っていた。

 それは、自分の力不足で叶わなかった。
 光世も颯真も、そして莉緒も目標としていた皐月中央高校に進学した。オレだけが途中で脱落した。夢の途中で、皆に置いていかれた。それを指摘されるのが恐くて、自覚はしていても決別の告知をされることが恐くて、自分の不甲斐なさを認めることが恐くって、考えることを放棄した。過去のことだと全てを置き去りにし、無かったことにした。

 だが、どうだ。
 その結果が今の自分だ。
 何もかも中途半端で、一歩も前に進めないでいる。
 瑠架と大介を見ていると自分が情けなくなってくる。
 2人は逆境に立ち向かい、自分達の意志を貫くために今も頑張っている。自分の目標を定め、自分と向き合って、できることを精一杯頑張っている。キレイごとだと笑う人がいたとしても、実際に2人は結果を残している。現在進行形で努力を続けている。逆に笑ってやる。オマエはあの2人以上に頑張ったことがあるのか、って。当然、オレは嘲笑される側だ。

 ・・・そうだよな。
 夢のような夢物語は、まだ終わっていない。
 何もかも、どうとでもなる状況だ。こんなこと、冷静になって少し考えればすぐに分かることだった。それなのに、たかが1つ失敗しただけで、動揺して大切なことを見失っていた。

「大和、メシ食いに行こうぜ。腹は減ってるんだろ?」
 いつのまに4時間目が終わったのか、大介が机まで歩いてきて学食に誘ってくる。
「日替わり、今日は何だっけえ?」
 瑠架も加わり、早く行こうと促してくる。


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