SIDE:A / SIDE:B

 神流駅の改札を抜け、駅舎の端へと移動する。
 そこは屋根がギリギリ雨を防いでくれるギリギリの場所だ。
 数十センチ先を土砂降りの雨が降り続いている。
 足下はすでにビショ濡れで、靴の中にまで冷たい雨が染み込んでいる。
 屋根の下にいるにも関わらず、莉緒は傘を開いて雨に備えている。
 これ以上濡れないように、もう濡れないように。

 答えは決っている。
 今さら、本当のことは話せない。
 ずっと一緒だった幼馴染に、自分の弱さなんて曝け出せない。
 莉緒のために戦おうだなんて明かせない。
 だから、答えは決っているんだ。

「莉緒には関係ない」
 それが最初の言葉だった。
 振り向いた莉緒の瞳が揺れる。

「もう、オレとオマエは無関係だって、そう言っただろ」
 これが次の言葉だった。
 見開いた莉緒の瞳からポロポロと涙が落ちる。

「だから、オレの前から消えてくれ」
 最後の言葉だった。
 雨の中へと莉緒が消えていく。

 もう二度と交わることのない線。
 これからのオレの歩む道。
 これからの莉緒が歩む道。
 最後の交差点が今の瞬間だった。

 空を見上げる。
 真っ黒な雨の夜は全てを飲み込んでいく。
 今なら、まだ間に合うかも知れない。
 傘を捨てて走り出し、ズブ濡れになる覚悟で、目の前で土下座をすれば話しを聞いてくれるかも知れない。自分の全てを曝け出し、本当の思いを伝えれば許してくれるかも知れない。

 でも、それができないから選んだ答えなんだ。









END