SIDE:A / SIDE:B

>明日から一緒に登校できない
 夜に届いたメール。

 翌日から、華那は学校に来なくなった。
 電話は通じない。
 メールは届かない。
 2人のグループチャットにも返事はない。

 その理由は、1週間後に担任の教師からもたらされた。
 華那は隣の県にある全寮制の百蓮女学園に転校した。百蓮女学園は全国でも有数の進学校だ。ネットで調べたところ、合格ラインの偏差値は70。編入試験ともなればそれ以上のはずだ。華那の父親が口にした言葉は本気だったのだ。合格する華那もさすがではあるが、転校することを教えてくれれば良かったのに、とも思ってしまう。オレ達の関係性はそんなに希薄だったのかと、悔しくて、悲しくてたまらない。電話は繋がらない。救いなのは「電波が届かない所にあるか、電源が入っていないため」と流れるアナウンス。全寮制だから携帯端末の持ち込みが禁止されているのだろうと、勝手に決めている。華那にとっては最善だと思う。華那のことを考えれば、これで良かったと思う。華那の父親が口にした言葉は腹立たしいが、正論だとも思う。

 ―――――それでも、ぽっかりと心に穴が開いてしまった。

 あの日から、ほとんど毎日一緒に過ごしてきたから。
 あの日から、いつも2人だったから存在が大きすぎて。
 つい、隣に話し掛けようとしてしまう。
 誰もいない空間に、しばらく慣れそうになくて。
 繋いだ手の温もりを思い出す。
 肩に寄りかかった熱が忘れられない。

 気付いてしまう。
 思い知らされてしまう。
 理由もなく、ずっと2人でいると思い込んでいた。
 離れ離れになることなんて想像もしていなかった。
 2人でいたことが、どれほど大切な時間だったのか。

 独りになる事がこんなにも苦しいなんて。
 隣に華那を探してしまう。

 こんなにも―――――
 こんなにも、好きだったなんて。

 会いたくて泣きそうだ。


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