SIDE:A / SIDE:B

 完全スルーだ。
 鳴沢など相手にするなど時間の無駄だ。多少勉強ができる程度で、運動神経が良い訳でもなければ、人格者でもない。100人に聞けば100人が人格破綻者だと答えるに違いない。部活が同じだったという以外に接点が無い。そもそも、話し掛けられるほどの付き合いはない。

「あれれ真鍋君。あの頃みたいに莉緒ちゃんに、纏わり付かないのかなあ。迷惑してたよねえ、莉緒ちゃん」
 挑発的な言葉を重ねながら、莉緒の肩に手を回す鳴沢。肩に触れられた瞬間、莉緒の肩が大きく跳ねる。視線を落としたまま、鳴沢から離れようと身体を捩る。それでも、鳴沢は逃がさないように手に力を込めた。

 一体、どういう状況なのか分からない。
 鳴沢は莉緒に対するストーキング行為の疑いにより、生活指導の教員から指導を受けた。確かにそういう過去はあるが、莉緒と関わらなくなって3ヶ月が過ぎようとしている。その間に何があったのかは分からない。2人が付き合っている可能性もゼロではない。それに、もうオレと莉緒の間には、幼馴染という関係性すらもない。

「やめなよ、その子、嫌がってるじゃない!!」
 思案を巡らせていると、隣から怒気を孕んだ声が聞こえた。

 瑠架の声で我に返る。
 そうだ、どう見ても嫌がっているじゃないか。
 相手が莉緒だからと無視する理由を考えていたけれど、目の前の女の子は怯えているじゃないか。

 ・・・ 34 へ