SIDE:A / SIDE:B

 他人のふりをして、2人を遠巻きに観察する。
 ひと目で分かる。
 2人は既にクラスの中心だ。
 存在感が全く違う。
 髪の色がピンクだとか、入学式前に関わらず制服を着崩しているとかは関係ない。クラスメート達の様子を見ていると、2人が気になって仕方がないことが分かる。チラチラと視線を送っているが、声を掛けたくても、気後れして話し掛けられないといった感じだ。それでも、目を奪われてしまう。クラスメート達の気持ちが、凄く理解できた。

 瑠架はゲームセンターでのように、軽やかにステップを踏んでいる訳ではない。大介に至っては、いつものダルそうなウエーイ顔をしているだけだ。ただ、2人とも自然体なのだ。誰の目を気にするでもなく、いつものように笑っている。それが、どれだけ凄いことなのか、周囲の人達は無意識のうちに理解している。だから、気になって仕方がないのだ。

 眺めている人達には、それができない。
 初対面のクラスメート達には良く見られたい。
 初日の人間関係が一番重要だ。
 マウントをとりたい。
 馬鹿にされたくない。
 カーストの上位に君臨したい。
 あーしたい、こーしたい、あーなりたい、こーなりたい。
 それが、あの2人からは感じられない。
 それは自信からなのか、諦念からなのか。

 突き刺さりそうな赤い髪をした大介がこちらに気付いた。
 席から立ち上がると、右手を突き出して笑顔を見せる。
「「ウエーイ」」


 これがクラスの中心とか、世紀末だ。  ・・・ 94 へ