カーテンを閉めずに眠っていたため、僅かな明りの変化で目が覚めた。
枕元のデジタル時計を確認すると、5時15分を表示している。夏の朝は早い。それは自分にとっては好都合だった。すぐに顔を洗って身支度をすると部屋を後にする。身支度といっても、持ってきたものはスマートフォンと財布くらいしかない。既に担当者が立っていたフトントに部屋のキーを返却し、ビジネスホテルを出発した。ここから白蓮女学園までは徒歩で10分。電車もまだ動いていないため、どんなに早くてもこの時間帯に寮を出る生徒はいないだろう。
ようやく白み始めた空を見上げながら白蓮女学園の正門を目指す。さすがに全国的に有名な名門高校だけあり、地図アプリで確認しなくてもすぐに場所は分かった。まるで西欧の城と見紛うような、円錐形の屋根が見えたからだ。その真っ白な屋根は、白蓮女学園のシンボルらしい。
高さが2メートル以上ある白壁に囲まれ、漆黒の頑丈な格子門に守られた学園内部は、外界とは隔絶された世界のように見える。感心すると同時に、特異な空間に心が重くなる。それでも、引き返すつもりはない。白い敷石の上に腰を下ろし、巨大が門柱に寄り掛かる。そして、2人のルームに書き込んだ。
>迎えに来たよ。
>正門の外にいるから一緒に帰ろう。
これでは危ないヤツかな。
もしかしたら、危険人物として捕まるかも知れない。
いや、そもそも、こんな所に座っていたら、警備の人に追い出されるのではないだろうか。
まあ、その時は仕方ない。必死に弁解しよう。そうしよう・・・
門柱に体重を預けて目を閉じているうちに、油断して寝てしまっていた。
どれほどの時間眠っていたのか、近くに人の気配を感じる。もしかしたら、間近で警備員に睨み付けられているのかも知れない。警備員ならまだいいが、警察なんてことも考えられる。このまま寝たふりを続ける訳にもいかず、恐る恐る目を開ける。すると、目の前で、華那が柔らかい表情を見せていた。
「おはよう」
「え、あ、うん、おはよう」
寝起きで思考がまとまらないまま、何の飾りもない言葉で告げる。
「会いたくて、会いたくて、我慢できなくてさ、ここまで来ちゃったよ。
大好きだ、華那」
「うん。私も、大和が大好きだよ」
そう言って、満面の笑みを浮かべた華那が抱き付いてきた。
その瞬間、なぜか周囲から歓声が上がり、盛大な拍手が鳴り響いた。気付いていなかっただけで、周囲を白蓮女学園の生徒達に取り囲まれていたのだ。女子生徒達の後ろでは、警備員が涙ぐんでいた。
誰かに「ハッピーエンドか」と問われれば、迷うことなく「違う」と答えるだろう。
だって、これは終わりではなく、始まりなのだから。これから2人の物語が始まるのに、終わりのはずがないじゃないか。
END ・・・ 114 へ
枕元のデジタル時計を確認すると、5時15分を表示している。夏の朝は早い。それは自分にとっては好都合だった。すぐに顔を洗って身支度をすると部屋を後にする。身支度といっても、持ってきたものはスマートフォンと財布くらいしかない。既に担当者が立っていたフトントに部屋のキーを返却し、ビジネスホテルを出発した。ここから白蓮女学園までは徒歩で10分。電車もまだ動いていないため、どんなに早くてもこの時間帯に寮を出る生徒はいないだろう。
ようやく白み始めた空を見上げながら白蓮女学園の正門を目指す。さすがに全国的に有名な名門高校だけあり、地図アプリで確認しなくてもすぐに場所は分かった。まるで西欧の城と見紛うような、円錐形の屋根が見えたからだ。その真っ白な屋根は、白蓮女学園のシンボルらしい。
高さが2メートル以上ある白壁に囲まれ、漆黒の頑丈な格子門に守られた学園内部は、外界とは隔絶された世界のように見える。感心すると同時に、特異な空間に心が重くなる。それでも、引き返すつもりはない。白い敷石の上に腰を下ろし、巨大が門柱に寄り掛かる。そして、2人のルームに書き込んだ。
>迎えに来たよ。
>正門の外にいるから一緒に帰ろう。
これでは危ないヤツかな。
もしかしたら、危険人物として捕まるかも知れない。
いや、そもそも、こんな所に座っていたら、警備の人に追い出されるのではないだろうか。
まあ、その時は仕方ない。必死に弁解しよう。そうしよう・・・
門柱に体重を預けて目を閉じているうちに、油断して寝てしまっていた。
どれほどの時間眠っていたのか、近くに人の気配を感じる。もしかしたら、間近で警備員に睨み付けられているのかも知れない。警備員ならまだいいが、警察なんてことも考えられる。このまま寝たふりを続ける訳にもいかず、恐る恐る目を開ける。すると、目の前で、華那が柔らかい表情を見せていた。
「おはよう」
「え、あ、うん、おはよう」
寝起きで思考がまとまらないまま、何の飾りもない言葉で告げる。
「会いたくて、会いたくて、我慢できなくてさ、ここまで来ちゃったよ。
大好きだ、華那」
「うん。私も、大和が大好きだよ」
そう言って、満面の笑みを浮かべた華那が抱き付いてきた。
その瞬間、なぜか周囲から歓声が上がり、盛大な拍手が鳴り響いた。気付いていなかっただけで、周囲を白蓮女学園の生徒達に取り囲まれていたのだ。女子生徒達の後ろでは、警備員が涙ぐんでいた。
誰かに「ハッピーエンドか」と問われれば、迷うことなく「違う」と答えるだろう。
だって、これは終わりではなく、始まりなのだから。これから2人の物語が始まるのに、終わりのはずがないじゃないか。
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