SIDE:A / SIDE:B

 あなた(・・・)は帰宅途中に、薄暗い公園のベンチに座る男子高校生を見掛けた。男子生徒だと分かったのは、彼が着ている白いブレザーが神楽坂高校の制服だと知っていたからだ。いつもなら通り過ぎるところではあるが、その真剣な横顔につい声を掛けてしまう。突然、初対面の人物に声を掛けられたため、彼は当然のように怪訝な表情を見せる。しかし、余程悩んでいたのか、彼は高校受験に失敗した以降のことをポツリポツリと語り始めた。

 全てを語り尽くした彼は、あなた(・・・)に問い掛ける。
「これから、どうすればいいのでしょうか?」
 その問いに対する答えは決まっている。
 それを、縋るような視線を向けてくる彼に伝えた。


『 どんな事も必ず時間が解決する。悔しいことも、悲しいことも、腹立たしいことも、恥ずかしいことも、全ては時間が癒してくれる。人間は忘れる生き物だ。逆に言えば、忘れることで心の平穏を保っている。だから、勇気を出して置いてきたものを、涙を堪えて捨て去った思いを、拾い直す必要はないんだよ。たぶん、今が精神的に一番ツライ時だと思う。でも、そこを乗り越えれば、何もかもどうでも良くなるはずだ。過去のことに縛られず、自由に生きていくことができるさ 』 ・・・ 113 へ


『 どうやら、思い違いをしているようだね。キミは前に進むために過去の出来事を考えないようにして、置き去りにしてきた。過去の自分に蓋をして、見ないようにしているだけで決別も和解もできていない。少し厳しいことを言うけれど、キミは自分にとって都合が悪い現実から逃げているだけだ。本当に前に進みたいのなら、もし、過去の自分を越えたいと思うのであれば、どんなに苦しくても現実に向き合うべきだ。情けない自分の弱さを認めて、本当の意味で前に進んだ方が良い 』 ・・・ 92 へ