SIDE:A / SIDE:B

 あなた(・・・)は帰宅途中にカラオケから出てくる高校生の集団とすれ違った。ファストフード店でも、いつもよりハイテンションで高校生達が騒いでいる場面を見掛ける。その時になってようやく、高校生が明日から夏休みに入ることに気が付いた。「いいなあ」と思いつつ公園の横を歩いていると、あなた(・・・)の目にベンチで頭を抱えている高校生が写り込んだ。
 その高校生は、これまでに何度か話しをしたことがある男の子だった。何となく友人に出会ったような気がして、あなた(・・・)は歩み寄って声を掛けた。

「こんばんは」
 そう声を掛けると、男子高校生はこれまでとは違い勢い良く顔を上げた。そして、まるで救世主にでも邂逅したかのように、両手を合わせて頭を下げる。これまで以上に真剣な表情で状況を説明され、かなり深刻な相談をされた。

「―――――で、その女の子に対して、どうすればいいんでしょうか?」
 回答は2種類しかない。
 経験上、こういう場合はこうするべきだ。



『 こういう時は、勢いに任せて突っ走るべきだ。
 心から人を好きになれるなんてことは、一生に何度もあることではない。絶対に、その思いは伝えるべきだ!! 』 ・・・ 51 へ

『 こういう時は、焦らずに慎重に行動するべきだ。
 情報収集もせず、相手の気持ちも確かめずに突っ走っても仕方がない。少しでも成功の確率を上げるように、石橋を叩きながら前進しなければ後悔するよ。だからまず、帰宅するのを待って、会えるように約束を交わした方が無難だ。 』 ・・・ 59 へ



 彼は私の話しを噛み締めるように聞くと、「よし!!」と何度も頷いた。その直後、勢い良く立ち上がり、まだ座ったままの私に深々と頭を下げて走り出した。そして、公園の入口付近で立ち止まり、振り返って大きく手を振った。

 弾むように走り去る彼を見送りながら、あなた(・・・)は明るい未来が待っていることを心の底から祈った。