SIDE:A / SIDE:B

 自宅マンションが見え始め、同時に初めて2人で話しをした公園のことを思い出した。状況が分かってくると、華那が飛び降りようとまでしていた理由も分かってくる。本当に必死だったんだ、と。いつものように、惰性で帰宅する気にはなれなかった。何をどうすればいいのか、自分の気持ちの整理さえできていない。それでも、何かしなければいけないのではないかと、強迫観念に駆られる。
 気が付くと、自然とあの公園へと足が向いていた。

「もしかして、大和君?」
 公園が目の前になった時、不意に呼び止められた。振り返ると、見たこともない上品な女性が立っていた。
「えっと・・・」
 返答に困っていると、その女性が何かに気付いたように慌てて口を開いた。
「あ、その制服、この近くでは余り見ないから、間違っていたらごめんなさい」
「いえ、間違っていません。それよりも・・・」
「黒井華那の母です」
 その女性の名乗りに驚いて目を見開く。時間ではなく期間で考えれば華那との付き合いは2ヶ月ほどだ。母親に会ったことはなかった。

 困惑していると、華那の母親が話し始めた。
「もし大和君に会うことがあったら伝えて欲しいと頼まれていたの。黙って行ってしまってごめんなさいって。それと、全寮制でスマホは禁止だから連絡できないことも」
 連絡がつかなかった理由を聞いてホッとする。
「それと、これは言い訳にはならないけれど、夫は決して悪い人ではないの。華那に対して過保護なのと・・・自分が学歴で酷い仕打ちを受けたことがあるから、それで学歴に対して過剰反応してしまうの。本当にごめんなさい」


 一通り華那の現況と父親の対応の説明を受け、その場で母親と別れた。  ・・・ 3 へ