SIDE:A / SIDE:B

 なるほど―――と納得してしまった。
 確かに、慎重に事を運んだ方がいい。勢いに任せた行動など、ロクな結果にならない。焦ることはないのだから、情報収集から始め、十分に時間をかけて万全の態勢を整えるべきだ。せっかく、父親からある程度認められ、友達付き合いをすることを黙認されたのだ。

 帰宅すると、部屋着に着替えて床に寝転ぶ。そして、2人専用のルームを開いて早速書き込んだ。
>明日、帰省するってお父さんから聞いたよ。
>友達として関わることも許可してもらったと思う。待ってるから、帰宅したら連絡してね。

 夏休みは1ヶ月以上ある。あの頃のように毎日は会えないとしても、一緒にいることもできるだろう。それで、少しずつ距離を縮めることができれば、夏休みの間に少しは進展するかも知れない。もしかしたら、告白するチャンスも有り得る。絶対に失敗は許されないのだから、慎重に、大事に進行しなければならない。

 翌日、華那からの連絡を待っていたものの、通知音が鳴ることはなかった。ルームを覗いてみても、オレのコメントに対しての返事は無い。華那の父親が言っていたのは、虫除けの嘘だったのだろうか。そんなことまでも考え始めた夕方、日暮れとともに待ちに待った通知音が聞こえた。


 できる事はたくさんあった。
 それなのに、何もしてこなかったのは自分自身だ。

 自分の気持ちが変わらないから、他人の心が遠くなることが想像できなかった。
 一所懸命頑張ったから、思いが必ず届くと信じていた。
 自分の思い込みが世界の全てだと勘違いしていたから、地球が自転していることに気付かなかった。
 必死に考えていたから、相手に意志があることを忘れていた。
 自分のことしか考えていなかったから、華那の気持ちが見えていなかった。
 精一杯努力しているから、許して下さいと誤魔化していた。

 始まりは突然で、終わりはあっけない。



>華那さんが退室しました。









END