SIDE:A / SIDE:B

 最初にやらなければならないのは、今の自分を認めることだ。
 それができなければ先に進むことができない。
 
 今まで通り華那と一緒にいるためには、やはり華那の父親に自分の存在を納得させるしかない。
 偶然、華那の母親と出会ったときに声を掛けられて頭を下げられた。夫が酷いことを言ってしまったと、謝罪された。同時に、なぜあんなことを口にしたのかも教えられた。華那の父親は現場の叩き上げで、仕事面では頭ひとつ抜きん出た存在だということだった。しかし、特に学歴が高い訳でもないため、業績面では何の実績もない高学歴の後輩が上司になり、現在進行形でこき使われていると。ドラマなどではよく見掛ける状況ではあるが、実際の会社も大差がないらしい。最初は、「学歴なんか関係ない、真面目に仕事をしていればいいんだ」と言っていた父親も、そう思うことができなくなったと。だから、せめて、自分の娘やそれに関係する人が学歴で評価を捻じ曲げられないようにと、そう思うようになってしまったようだ。

 これが正しいのか、間違っているのかは今の自分には分からない。
 だが、学歴の壁を越えない限り、父親と話しをすることすら難しいだろう。でも、学歴ということだけを考えれば、高校なんて通過点でしかない。学歴のゴールは大学だ。違う高校に進学しても、同じ大学に通うなんてことは普通に起こり得る。どこにいても頑張ることを止めなければ、その先は無限に広がっているのだ。それを証明すればいい。全国共通の実力テストで上位に食い込めばいい。その結果を持って、父親に叩き付けてやるんだ。

 ただ―――――
 例え戯言だと笑われても、思うんだ。
 一緒に生きていくのであれば、一番大切なものは人としての優しさや強さだと思う。
 どんな時にでも寄り添える温かさだと思う。
 だけど、何の経験もない若造の言い分など、ただ理想論だと笑われてしまうだろう。
 それでも、偏差値が幸せにしていくれる訳ではないし、上等な歯車になることが目標だとも思わない。
 
 ぶっちゃけ、今はまだよく分からない事ばかりだ。
 ただ、学力の壁が華那と境界線になるのであれば、真正面から乗り越えるしかない。
 目指すのは、全国トップ100入り。それなら、華那の父親も納得するだろう。
 そして、堂々と華那に会いに行く。

 ・・・本当に嫌になる。
 学力なんて人間を構成するほんの一部分の要素でしかないのに、オレはなんて間違いをしていたんだろう。こん当たり前のことに、やっと気付くなんて。クラスメート達に申し訳がない。嫌な態度を取ったことも一度や二度ではないかも知れない。本当に申し訳がない。


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