華那を背中に庇い、3人の男達と対峙する。
ざっと見たところ、年齢は20歳前後だと思われる。体つきも雰囲気も、ただ勉強をしていたオレとは全く違う。それでも、華那をコイツらにさらわれる訳にはいかない。ショッピングモールとは違い、このエリアにあるゲームセンターは多少の荒事があっても店舗は関知しない。いちいち関与していたらきりがないからだ。そもそも、建前上は日没と同時に未成年は退店しなければならない事になっている。実際、見える範囲に学生の姿はない。
ただ、幸いなことに外に通じる自動ドアは目の前だ。
最悪の場合、華那だけを逃がしてしまえばいい。
「おい、オマエはさっさと家に帰れよ」
「エッチなことはしねえから、安心しろ。キレイな体で返してやるから」
オレの背中に触れている華那の手が小刻みに震えている。
「その制服、神楽坂高校だろ?3年にも何人か知り合いがいるからよう、オマエのこと、いじめてやってもいいんだぜ?」
再び、男の手がオレの背後に向かって伸びる。
同じように、オレはその手を払った。
「イテッ」
「クソが!!シメなきゃ分かんねえのかよ!?」
「ガキが調子に乗んなよ!!」
一番右側の男に突き飛ばされ、クレーンゲームの横にあるコンクリートの柱に肩から激突する。痛みに顔しかめる間も無く、胸ぐらを掴まれたまま睨み付けられた。
「こっちは3人。しかも、オマエはヒョロガリのクソガキ。イキがったところで、どうにもならねえんだよ」
手で頬ペチペチと叩かれた後、軽く殴られて床に転がされる。そして、床に這いつくばった状態で3人に囲まれた。
「神楽坂なんて、どっかの公立落ちたヤツらのゴミ箱だろうが。そこのクズ女をどう扱おうが、誰の迷惑にもなんねえんだよ!!」
その言葉を耳にした瞬間、頭の中で何かがブツリと切れた。
勢い良く立ち上がると、勢いのままに正面に立っていた男に突っ込む。
映画やマンガでは、ここで相手を組み伏せて殴り付ける場面だ。しかし、現実はそんなにドラマチックではない。簡単に受け止められ、床に叩き付けられる。更に3人から囲まれて何度も蹴られる。蹴られて無理やり立たされ、耳打ちされる。
「そこの女置いて帰れ。それで見逃してやっから」
「イヤだ」
今度は強めに腹を殴られる。
込み上げる物を必死に堪え、腹部を押さえて床に蹲る。
せめて華那をどうにかしないと。
そう思うものの、華那は一向に逃げようとしない。
何度か繰り返し、我慢できずに嘔吐したとき、外から2人の警察官がやって来た。見かねた誰かが通報したのだろう。その姿を見ると同時に、3人の男達はゲームセンターの奥に向かって駆け出した。確か、裏にも出入り口があったはずだ。そこから逃走するのだろう。
駆け付けた警察官には「運が悪かった」という言葉で片付けられた。
それでも、学校には報告され、悪い部分だけを切り取られて2週間の停学処分を言い渡された。同時に、特別進学クラスに相応しくないと判断され、一般クラスに移籍させられた。
華那は父親に編入試験を受けさせられ、桜坂高校に転校してしまった。
何をどうすれば良かったのか、今でも分からない。
ただ、あの日の選択によって自分の人生が大きく変わってしまったことは間違いない。
もう何もやる気が起きないし、ただ惰性で生きているだけだ。
違う選択をしていたら、もっと違う未来があったのかも知れない。
END
ざっと見たところ、年齢は20歳前後だと思われる。体つきも雰囲気も、ただ勉強をしていたオレとは全く違う。それでも、華那をコイツらにさらわれる訳にはいかない。ショッピングモールとは違い、このエリアにあるゲームセンターは多少の荒事があっても店舗は関知しない。いちいち関与していたらきりがないからだ。そもそも、建前上は日没と同時に未成年は退店しなければならない事になっている。実際、見える範囲に学生の姿はない。
ただ、幸いなことに外に通じる自動ドアは目の前だ。
最悪の場合、華那だけを逃がしてしまえばいい。
「おい、オマエはさっさと家に帰れよ」
「エッチなことはしねえから、安心しろ。キレイな体で返してやるから」
オレの背中に触れている華那の手が小刻みに震えている。
「その制服、神楽坂高校だろ?3年にも何人か知り合いがいるからよう、オマエのこと、いじめてやってもいいんだぜ?」
再び、男の手がオレの背後に向かって伸びる。
同じように、オレはその手を払った。
「イテッ」
「クソが!!シメなきゃ分かんねえのかよ!?」
「ガキが調子に乗んなよ!!」
一番右側の男に突き飛ばされ、クレーンゲームの横にあるコンクリートの柱に肩から激突する。痛みに顔しかめる間も無く、胸ぐらを掴まれたまま睨み付けられた。
「こっちは3人。しかも、オマエはヒョロガリのクソガキ。イキがったところで、どうにもならねえんだよ」
手で頬ペチペチと叩かれた後、軽く殴られて床に転がされる。そして、床に這いつくばった状態で3人に囲まれた。
「神楽坂なんて、どっかの公立落ちたヤツらのゴミ箱だろうが。そこのクズ女をどう扱おうが、誰の迷惑にもなんねえんだよ!!」
その言葉を耳にした瞬間、頭の中で何かがブツリと切れた。
勢い良く立ち上がると、勢いのままに正面に立っていた男に突っ込む。
映画やマンガでは、ここで相手を組み伏せて殴り付ける場面だ。しかし、現実はそんなにドラマチックではない。簡単に受け止められ、床に叩き付けられる。更に3人から囲まれて何度も蹴られる。蹴られて無理やり立たされ、耳打ちされる。
「そこの女置いて帰れ。それで見逃してやっから」
「イヤだ」
今度は強めに腹を殴られる。
込み上げる物を必死に堪え、腹部を押さえて床に蹲る。
せめて華那をどうにかしないと。
そう思うものの、華那は一向に逃げようとしない。
何度か繰り返し、我慢できずに嘔吐したとき、外から2人の警察官がやって来た。見かねた誰かが通報したのだろう。その姿を見ると同時に、3人の男達はゲームセンターの奥に向かって駆け出した。確か、裏にも出入り口があったはずだ。そこから逃走するのだろう。
駆け付けた警察官には「運が悪かった」という言葉で片付けられた。
それでも、学校には報告され、悪い部分だけを切り取られて2週間の停学処分を言い渡された。同時に、特別進学クラスに相応しくないと判断され、一般クラスに移籍させられた。
華那は父親に編入試験を受けさせられ、桜坂高校に転校してしまった。
何をどうすれば良かったのか、今でも分からない。
ただ、あの日の選択によって自分の人生が大きく変わってしまったことは間違いない。
もう何もやる気が起きないし、ただ惰性で生きているだけだ。
違う選択をしていたら、もっと違う未来があったのかも知れない。
END



