SIDE:A / SIDE:B

 得点差は鳴沢が画いたストーリー通りなのだろう。
 歪な笑みを浮かべ、挑発的な視線を向けてくる。
 大介は足が痙攣しているのか、何度もアキレス腱を伸ばしている。
 瑠架は右足を痛めたようで、隠しているつもりかも知れないが引き摺っている。
 もう限界だ。
 それでも、2人は止めようとしない。
 そうであるならば、オレは最後まで諦めないだけだ。

 「再開します」

 鳴沢達の攻撃で再開される。今度は無意味なパス回しなどせず、一瞬でシュートを決めてきた。これで2対27。お互いに3ポイントシュートが決ればゲームセットだ。

 マイボールでリスタートした。
 何度かドリブルをして、大介にパスを出す。
 大介にパスが出ることを予測していた相手に、あっという間にボールを奪われた。
 素早いパスが3ポイントラインの外で待っていた鳴沢に渡る。
 カットは間に合わない。
 放物線を画く軌道。
 入るな!!と大介が叫ぶ。
 瑠架は落ちると信じてゴール下に向かっている。
 ガンという音とともにリングが揺れる。
 リングに弾かれたボールが瑠架の足下でバウンドする。
 両手で掴んだ瑠架が再びはね飛ばされる。
 手にしていたボールがラインを越える。
 その瞬間、大介が跳んだ。
 空中で手にしたボールはオレに向かって飛んでくる。
 そのまま地面に顔面から突っ込んだ大介が親指を立てた。
「「決めろ!!」」
 即座にシュート態勢に入る。
「させるかよ!!」
 シュートコースを塞ぐように鳴沢がジャンプする。
 冷静にフェイントで避け、そのままシュートを放った。

 両手を上げてガッツポーズ。
 そこに大介が飛び込んでくる。
 右足を引き摺る瑠架は、オレ達2人の上にダイブしてきた。


 決着した。
 手加減しただとか、ハンデがあったからだとか、もう言い訳はさせない。
 徹底的に抗戦する覚悟を決めていたが、鳴沢は何も言うことなくコートを去って行った。少しはプライドが残っていたのかも知れない。そうあって欲しいと思う。

 背後から近寄ってくる人の気配。
 振り返ると、そこには莉緒が立っていた。
 逆光で表情は分からない。
 でも、泣きながら笑っているのだと、何となく分かった。


『 自分の思いを伝える。 』 ・・・ 80 へ

『 このまま自分の気持ちは黙っておく。 』 ・・・ 87 へ