SIDE:A / SIDE:B

 バイオリズムが低下すると、災厄を引き寄せる。
 災難が一度降り掛かると、続けざまに襲ってくる。
 しかも、二度目は一度目よりも被害が大きくなることが多い。
 ついでに言うと、「運命」なんて言葉はお互いが求め合っている場合だけに使用するものであって、一方的な場合は不幸な結果にしかならない。そんな当たり前のことを、当事者には理解できない。

 翌日の放課後、いつもの2人と一緒に下校することになった。瑠架と大介が夕方までは時間が空いているということもあり、商店街にあるゲームセンターに行くことになったからだ。ごく普通の日常であったが、皐月が丘駅の改札を抜けた場所に、昨日よりも巨大な地獄の門が屹立していた。
「大和」
 オレの名前を口にしたのは、皐月中央高校の女子生徒の制服であるセーラー服を纏った少女だった。女性としては高い部類に入る168センチの身長に長い手足。引き締まった体躯に、肩よりも10センチ以上短い髪型という印象から、何らかのスポーツをしていることは一目瞭然だ。それに整った容姿もプラスされ、周囲からの注目を集めている。

 神田 莉緒―――――幼馴染で、一緒にバスケを頑張ってきた仲間で、ずっと好きだった相手。そして、あの日に置いてきた過去の人。今さら、関わるつもりはない。
 呼び掛けを無視し、莉緒が立っている方向の反対側へとホームを歩く。

「大和!!」

「ねえ、呼んでるけど?」
 瑠架が隣に来ると、後ろを振り向きながら言ってくる。
「まあ、色々あるんだろうよ。オレ達が口を挟むことじゃないだろ」
 オレを挟んで反対側にいる大介が瑠架を嗜める。空気を読む能力が高いだけあり、2人の関係を匂わせる。しかし、それでも瑠架は納得せず、珍しく自分に無関係なことに食い下がる。
「でもさ、こーいうの良くないと思うんだよね。ハッキリさせとかないと。逆に引き摺るんじゃないの?関係ないなら、『気安く名前よぶんじゃねーよ!!』くらいは言っておいた方がいいと思うよ」

 瑠架の意見を聞き、その場で立ち止まる。
 確かに、お互いのためにも、ここで明確に線を引いておいた方がいいかも知れない。
 その場でクルリと振り返ると莉緒との距離を詰め、軽薄な笑顔を貼り付けて軽い口調で話し掛けた。
「さっきからオレの名前呼んでるけど、どこで調べたの?もしかして、駅で見掛けて一目ぼれして、ウチの学校の生徒に聞いたとか?気持ちは嬉しいけど、でも、ごめーん。もう彼女いるんだー」
 振り向いてとびきりの笑顔を向けると、瑠架はピンクブロンドの髪を左右に振る。
「照れちゃってさ、ハハ。
 とりあえずさあ・・・もう、話し掛けないでくれないか」
 そう言い放って背を向ける。

 背後ですすり泣く声が聞こえた。


『 もう一度振り向いて、理由を説明する。 』 ・・・ 4 へ

『 もう振り返らずに、その場を離れる。 』 ・・・ 57 へ