SIDE:A / SIDE:B

 一緒にエレベーターに乗り、廊下を並んで歩く。
 そして、お互いの扉の前に立ち顔を見合わせた。
 華那の表情が明らかに強張っている。自分が話しを聞いている限り、華那の父親はかなり厳しい部類に入る。高校生に対して19時の門限設定にしても、普通に考えて早過ぎる。少し用事があるだけでも、そんな時間に帰宅することは難しい。そもそも7時間授業を平気で行う学校なのだ。それだけでも17時になってしまう。

 玄関のカギ穴にディンプルキーを挿し込み、右に回すと施錠が解除される。ドアノブを引いて開けた状態で華那の方を見ると、まだキーを握った状態で静止していた。
 その雰囲気から自分が思っていた以上に父親のプレッシャーが強いことが窺える。2人で一緒に、どうして遅くなったのかの理由を説明することは簡単だ。ただ、自分が首を突っ込むことで、状況を悪化させる可能性はないだろうか。帰宅が遅くなった理由に同級生の男子が関わっているのだ。溺愛なのか過干渉なのかは分からないが、華那の家庭環境が悪化することだけは避けたい。

 ―――――やはり、関わるべきではないだろう。
 そう結論付けた瞬間、ホッと胸を撫で下ろす自分がいることに気付いた。

 また、逃げるのか?
 逃げる?
 また?
 突然、思考がショートして視界がバグる。


 そうじゃない。
 自分が楽な方に流されてどうするんだ。
 華那のことを中心に考えれば、答えなんか1つしかないだろう。  ・・・ 15 へ