SIDE:A / SIDE:B

「すいませんでしたあ!!」
「ちょっと待て―――――!!」
 反射的にフライング土下座を魅せ付けようとしていたオレを、隣にいた大介が思い留ませる。その言葉で我に返り、シャツのポケットに入れていた試験結果を思い出した。負け癖というものは恐ろしい。いつも自分が負けていると勘違いしてしまう。

 高校受験以来、ずっと自分を縛り付けていた鎖は瑠架と大介が切り捨ててくれた。今のオレは、何もやっていないのに自分を過大評価していた頃とは違う。過去の自分と向かい合い、非力な自分自身を認めた上で、必死に努力を重ねたのだ。この5日間だけではない。瑠架と大介を信じたあの日から、2人に追い付こうと思いずっと重ねてきた成果だ。

 実は、試験結果はまだ見ていない。
 封がされた状態でポケットに入っている。
 折り畳まれ、端をのりで留められた結果シートを取り出した。

 それを目にした鳴沢が指を差しながら大笑いした。
「まだ開けてもないのかよ。さすがにビビり過ぎだろ!!開ける勇気もないなら、代わりに試験結果を読み上げてやろうか?」
「さあ、土下座の撮影会でもするか」
「もう暗いし、フラッシュ機能がいるかも知れないなあ」
 2人の友人らしき男子生徒も悪態をつく。

「必要ない」
 そう口にして、試験結果を開封した。

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