SIDE:A / SIDE:B

「それは無理かも」
 と、断ろうと思ったものの、実際には躊躇することなく頷いた。
 今の自分にとって2人は一番近い存在だ。2人にどれだけ救われているか分からない。だから、2人からの誘いを断ることなどできるない。瑠架が断言するのであれば、間違いなく近日中に誘われる。その時までに気持ちを整理して、3人でチームを作ることに賛成しよう。

 しかし、それが翌日だとは、さすがに予想できなかった。
 笑っている瑠架を見ると、予想していたようだ。だから昨日、唐突に過去の話をしたのだろう。すっかり油断していた。正直なところ、気持ちの整理など全くできていない状態だ。そんなオレに、大介は朝の挨拶とともに勧誘してきた。

「ウエーイ!!3on3用のチーム作ろうぜ!!」
 制服のズボンを捲り上げ、足下を強調する大介。その足にはインターネット上でしか見たことがないシューズが装着されていた。
「そ、それ、エアジョーダンだろ?しかも6万円以上するヤツ・・・」
「ウエーイ。これが欲しくてバイトしてたんだからな」
 ポーズを決める大介だが、そのシューズはコレクションであって実際に使用するレベルのものではない、はずだ。
「それ、飾っとくものだろ。履いて汚れでもしたら、後悔するんじゃ―――」
「それは違うな。元々、バスケをするために作られたモデルなんだぞ。使わないで棚に飾るとか、何の意味もないだろ。で、チームの名前はどうする?」
 拳を突き出してくる親友に、拳を合わせて笑う。
「『USED 冗談』にでもするか?」
「いーねー」
「良くないわ!!」
 隣で聞いていた瑠架の鋭いツッコミが刺さった。

 チームに参加すること自体は問題ない。本気でやらなければいいだけだ。場所も中央アリーナの外にあるコートを借りれば大丈夫。あそこなら瑠架の練習場所にも近いし、両立もできるだろう。ボールは中学生の時に自宅練習用に使っていたゴム製のものを提供しよう。余り使っていないし、まだまだ十分にいけるはずだ。誰かに貰ったとかどうとか、どうにでも誤魔化せるだろう。

 早速、中央アリーナのコートに行ってみることになり、3人で一緒に下校することになった。
 その途中、思い掛けない出来事が起きる。皐月が丘駅のホームで、再び莉緒と遭遇したのだ。今度は本当に偶然だったようで、莉緒は動揺して視線を逸らした。しかし、莉緒の隣にいた見知った男子生徒がオレに気付くと、笑顔を作って近付いて来た。

「久し振りだな、真鍋。ウチの学校に落ちて神楽坂高校に行ったんだな。何だよその髪、サバかよ?」
 男子生徒の名前は鳴沢(なるさわ) (とおる)。同じ中学で部活も一緒だった同級生だ。3年間、見事に補欠だった男。そして、ずっと莉緒を追い掛けていたストーカーもどき。


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