SIDE:A / SIDE:B

 ―――――もう一度だけ、頑張ってみようか。

 いつから?
 どこで?
 誰と?
 何を?
 なぜ?
 どうやって?
 
 スポーツ用品店の前で立ち止まりショーウィンドウを見詰めると、そこいるサバ男がそんな自分を嘲笑う。
 かつての仲間も、一緒に夢を追い掛けた幼馴染も、もういない。たぶん、今もあの夢のために必死に練習しているだろう。今のオレにできることは、楽しく、毎日笑って過ごすことだけ。現在(いま)という瞬間を謳歌し、過去も未来も完全に無視してチャラ男になることだけ。

 十分に頑張った。
 やれることは全てやった。
 でも、ダメだった。
 できないこともあるんだ。
 だから、もう頑張らない。
 空いた時間はソーシャルゲームで潰せばいい。

 青い髪で商店街を闊歩し、電車に乗ると「神楽坂だから」と陰口を叩かれる。電車を降りて自宅マンションまでの道を歩いていると、見知ったオバサンが振り返って凝視する。

 結局、頑張っても頑張らなくてもゴールは同じだ。
 それなら苦労することもない。
 無駄に努力をする必要もない。
 一部の選ばれた者達だけが頑張ればいい。
 その他大勢は参加賞しか貰えない。
 それなら最初から傍観するべきだ。

 玄関を開けてリビングに入ると母親が既に帰宅していた。青髪を見上げたものの特に意見をすることもなくテレビに視線を戻した。

「まあ、今しかできないことがあるから」  ・・・ 75 へ