SIDE:A / SIDE:B

 歩み寄って声を掛けようとすると、話し掛けていた男性性とが華那の手首を掴んだ。その瞬間、華那の表情が一気に曇った。怯えたと表現した方が合っているかも知れない。最初は参加した方がいいかも知れないと思っていたが、華那の表情を目の当たりにして考えが変わった。

 オレはその男子生徒の肩を掴み、グッと力を込める。
「おい、放せよ」
 怒気を含んだ声が出て、それを聞いた男子生徒が慌てて手を放した。周囲で盛り上がっていたクラスメート達が会話を中断し、こちらの方に注目する。
「オレ達は不参加で」
 華那は頷くと、カバンを持って立ち上がった。

 もしかすると、女子生徒から誘われていれば華那は参加したかも知れない。だが、初対面の男子生徒から手首を掴まれてしまっては、もう華那に親睦を深めるとか無理だ。おそらく、今後3年間この男子生徒がクラスの中心人物になるだろう。面倒臭いな、と思いつつ華那と一緒に歩き始める。


 オレ達が背を向けると、男子生徒の舌打ちが聞こえた。  ・・・ 8 へ