SIDE:A / SIDE:B

 華那の父親の姿を目にし、視線がその一挙手一投足を追い掛ける。呼吸を合わせ、声を掛けるタイミングを見計らう。歩調が緩やかになり、ゆっくりと視線がこちたに移動してくる。
 ―――――その瞬間、反射的に俯いてしまった。

 合わせる顔なんてない。
 自宅にまで乗り込んで、大見得を切って、結局はこの有り様だ。
 頑張って結果が出ない。それが許されるのは最初だけだ。2回目、3回目と少しずつ信頼を失っていく。言葉が軽くなる。全てが絵空事になってしまう。
 足下にポタポタと雫が落ちる。俯いた顔から、自分に対する情けなさと、悔しさが溢れて落ちる。自信も可能性も全てがメッキで、ボロボロと剥がれていく。もう、それを止めることができない。次の目標も、方法も何も無い。自分の顔を覆う手の平が、もう二度と外れることはない。

 ポケットに入れていたスマートフォンを取り出し、華那と連絡を取り合っていたルームを開く。当然、返事などない。自分が書き込んだコメントが最後の1行だ。
 それを見て笑う。
 現実を知らない自分が、自分の力を妄信して、何の根拠もない言葉を書き込んだ。それは一番実現が難しくて、リアルな自分からはかけ離れた願いだった。

 ルームを開設したのはオレだ。
 権限者の権利を行使することができる。
 「閉鎖」ボタンに指を合わせ、ゆっくりと落とす。


 ごめんね、バイバイ―――――









END