SIDE:A / SIDE:B

 少し出遅れたためもあるかも知れないが、到着すると珍しく満席だった。
 席が空くまで待っていてもいいのだが、今日は時間が惜しい。学食の中を見渡して席を探している2人に声を掛ける。
「パンでも買って、外で食べないか?」
「いーねーカツカレー持って行くか」
「じゃあ、アタシは日替わり持ってくるね」
 2人はノリノリで賛同する。ただ、発言の内容がおかしい。

「いやあ、いい場所があって良かったね」
「カツカレー、ウエーイ」
 中庭の芝生の上でサンドウィッチを手にしたオレの隣に、カツカレーと日替わりランチを食べている2人。周囲からの視線が痛過ぎる。持参してた弁当を食べている人を見たことはあるが、学食のトレー持参の人は見たことがない。フリーダム過ぎる。2人の表情を窺うと満面の笑みだ。まあ、これはこれで仕方がないと割り切ろう。何か、悩んでいることがバカらしくなってくる。

「それで、何か話しがあるんだろブラザー」
 不意に大介がコチラに視線を向けてくる。一瞬怯んでしまうが、もう話すと決めて来ているのだ。
「ブラザー、ちょっと聞いて欲しいことがあるんだ。姐御も」
「アタシはプリティドールとか呼んで欲しいんだけど」
「「拒否する」」

 元々、2人の過去を聞いたにも関わらず、自分が何も話していないという状態には違和感があったんだ。何となく、それは対等の関係とは言えないのではなかと、負い目みたいなものを感じていた。それなりに深刻な内容の話だったと思うが、2人ともカツカレーと日替わりランチを滞りなく完食した。それでも、2人とも胃袋と同時に脳ミソも動かせるタイプだった。

「オレ達もそうだったけど、何が一番大事なことなのかをハッキリさせることが一番大事だと思う。で、それをどうにかしたいって本気で思うなら、まず自分自身と向き合うことが必要だ。そうしなきゃ、自分の現在地が分からないだろ。それが分からなきゃ、どっちに向かって進めばいいのかも分からないぜ、ブラザー」

 今日は「ブラザー」に強いこだわりを見せる大介。今度は、お茶で一服した瑠架が口を開く。

「当然、他人の目は気になるよ。良く見られたいとか、自分の弱さを見せたくないとか、私だって最近2キロ増えたとか知られたくないしさ。あ、今のナシ・・・えっと、でもね、他人の評価ばっか気にしても、本当の自分とは向き合えないんだよ。だからさ、大和にはアタシと大介がいるんだから、もう、他の人のことなんか気にしなくていいんだよ、ブラザー」

 何か、もう、笑えてくる。

「サンキュー、ブラザーと姐御」



『 もう少し考えてみる。 』 ・・・ 102 へ

『 鳴沢に会いに行く。 』 ・・・ 52 へ