その女の子は黒板の前に立った。
クラスメイト達がその子をまじまじと見る。まるで、彼女を審査しているみたいだ。

「ヤオ ヒクナです。」

そう言って黒板に『八百 比久奈』と書いた。
書き終えると、くるりと回った。


「よろしくお願いします。」


彼女は、緊張の混じった笑顔で言った。
みんな拍手をした。

「はい。と言うことで仲良くしてあげてね」

田中先生がクラスメイトに声をかけた。

「じゃあ、八百さんは彼処の席ね。」

田中先生は、僕の隣の席を指さした。