「じゃ、残りの時間は、


基礎練習続けようか」



私たちの部活は、


藤木悠真という若い音楽教師を迎えた事で、


大きな転換期に差し掛かっているのかもしれない。



✳︎✳︎✳︎



「明日の朝、


藤木先生がおっしゃっていたことについて


話し合うので、


全員、音楽室に集まるようにしてください」



何を求めるか。


きっと話し合う必要はないだろう。


藤木先生のあの話は、


私たちの心を動かすには充分だった。



「何か連絡のある人はいますか?


……じゃあ解散します」



「ありがとうございました」と、挨拶が響いて、


部員たちが一斉に動き出す。



「沙耶!


藤木先生、なんかすごい人だね」



「それにめっちゃイケメン!」



イケメン、…?


確かに、思い返してみると


顔は整っていたかもしれない。



「なーにきょとんとした顔しちゃって


明日から藤木先生が


どんな指導してくれるか楽しみだね」