「私たちが、もとめるのは、…」



部長の先輩が何かを言おうと


必死に考えているのがわかる。



「まぁ、すぐに答えは出ないよね。


部長1人の意見じゃダメだしね。


部長さん、1週間後までに部員で話し合って、


その結果を俺に伝えてくれる?」



部長の先輩は、


はいっ、と大きな返事をしながら頷いた。



「みんながどんな答えを出すのかは


俺にはわからないけど、


君たちには


全国、全国金賞を目指せる力があると思ってる。


俺個人の気持ちとしては、


みんなと全国金賞を目指したい。」



ずっとずっと、


きっと何十年も前から、


この吹奏楽部の目標は全国大会出場だった。


全国大会に出場することすらままならないこの学校が、


全国金賞?


ありえない、


そんな気持ちも浮かんでくる。


でもそれ以上に、


藤木先生の真っ直ぐで、


どこか熱に浮かされるような熱い瞳、


そんな瞳に心を動かされた。