パー、と私たちから飛び出す音。


きっと、上手くいったんじゃないかな。


基礎練習だし。


このくらいなら、みんなできるだろう。


しかし、



「やめやめ、


みんな頭空っぽって感じ。


普段、基礎練習、手抜いてるでしょ?」



ほとんど吹かないうちに藤木先生に止められた。



「…みんなはさ、何を目指してる?」



何を、目指している…?



「コンクールでいい結果を出すとか、


定期演奏会を成功させるとか、


この一年、何を目指して音楽をやるの?」


…答えられない。


コンクールはコンクールで頑張るし、


定期演奏会は定期演奏会で頑張る。


それじゃダメなのだろうか。


それはみんな同じ気持ちだったようで。


音楽には沈黙が立ち込めた。



「一つ一つ頑張るのは悪い事じゃない。


けど、その積み重ねの先に何を求めるか、


俺が指揮を振るからには、


そこを見据えた音楽をしたい」