「自己紹介するのはあまり得意じゃないから、


合奏とか日常生活を通して、


俺のこと知って欲しいかな」




「はい!」という大きな返事が音楽室に響く。


そう、ここは強豪校。


…多分。


数年に一度全国大会に出場することができるくらい。


下手ではないけど、上手くもない、


この吹奏楽部を評価するとしたらそのくらいだろう。



「みんながどのくらい吹けるか知りたいから、


一時間後に合奏をしようか」



またしても響く大きな返事。


私を含めた部員達は、


ゾロゾロと音楽室を出て行った。


そして一時間後。


私たちは、指揮棒を持って指揮台の上に立つ


藤木先生を見ていた。



「んー、とりあえず軽く基礎練習しようか」



藤木先生は少し迷うように視線をさまよわせてから、


私たちに指示を出した。



「1,2,3,4」



大して指揮棒を振る事なく、


藤木先生がカウントする。