椿と付き合いはじめて数日が経った。
放課後の帰り道、美羽のスマホが震えた。

『美羽ちゃん、お久しぶりです!』

『ついについに!お兄ちゃんから聞きました!!』

『お兄ちゃんと付き合ったんだって!?』

『おめでとう!!美羽ちゃん!!
そして、"未来のお姉ちゃん♡"』

——未来のお姉ちゃん。

その文字を見た瞬間、美羽の顔は一気に真っ赤になった。

「み、未来のお姉ちゃんって……!」

思わずスマホを胸にぎゅっと抱きしめる。
幸せでくすぐったい気持ちが、胸の奥をじんわり満たしていく。

そこへ、後ろからひょいと覗き込む影。

「なにニヤニヤしてんだよ。」

「つ、椿くん!?いきなり覗かないでよ!」

「鈴から連絡きたんだろ。……あいつ、余計なこと言ってねぇだろうな。」

「……未来のお姉ちゃんって言われた。」

言った瞬間、今度は椿が少しだけ耳を赤くした。

「……まぁ、間違ってねぇけど。」

「えっ……!?」

「いずれ、そうなるんだから。」

夕暮れに染まる歩道で、
二人の影がそっと重なった。

美羽の頬の熱はしばらく引かなかった。







Fin.