快楽地獄への螺旋

朝の7時12分。

薄暗い部屋に、
カーテンの隙間から差し込む朝陽が、
床の上に散乱した女装衣装を淡く白く照らしていた。

昨夜の乱痴気騒ぎの残骸——
赤いリップが付着したストッキング、
破れた網タイツ、
精液の染みが乾き始めたシーツ。

空気中にはまだ甘酸っぱい体液の匂いが漂い、
ミサキの肌にべっとりと纏わりついていた。

ミサキはベッドの上で縮こまり、
スマホを握りしめたまま震えていた。

画面に映るのは、
昨夜の過ちの証。
匿名掲示板のスレッド。
タイトルは【女装子専用スレ Part.45】。

ミサキはそこで「ババア女装子」と呼ばれる存在になっていた。
40代のサラリーマン、
女装趣味の秘密をネットに晒し、
男たちに弄ばれる快楽に溺れていく過程を、
自ら実況していた。

——終わった。
本当に、すべてが終わった。

昨夜、酒に酔った勢いで書き込んだ一文が、
すべてを崩壊させた。

スレッドの【18番 朝イチ緊急】というレス。

「昨日のババア女装子、住所特定したわ
 ○○区××町3−15−207
 朝から凸っていいって本人が言ってるwww
 鍵開けとくらしい」

それはミサキの住所。
自分のアパートの部屋番号。

そして、深夜3時過ぎに、
酒の力で書き込んだ自らの言葉。
「朝でもいいから来て……鍵開けとく」。

あの瞬間は、ただの興奮だった。
ネットの向こうの男たちに犯される妄想が、
現実味を帯びてアドレナリンを噴出させた。

でも今、朝の光の中で見ると、
それは自殺行為だった。

削除しようとしたが、すでに遅い。
スレッドは一夜にして300レスを超え、
勢いは止まらない。

スクロールする指が震える中、
次々と書き込まれるレス。

「マジかよ、住所晒しwww 8時に行くわ」

「俺も9時に合流。ババアのケツ穴緩めてやるよ」

「10時組だけど、遅刻したら残り物で我慢するわ。顔射祭り開催中?」

「地元民だけど、すぐ行ける。鍵開いてるってマジ? 朝勃ち処理に最適w」

「実況よろ。写真アップしてくれたら神」

ミサキの心臓が激しく鼓動する。

逃げようか?
いや、どこへ?

仕事は休み、家族はいない。
この部屋がすべてだ。

昨夜の快楽の余韻が、
まだ下半身に残っている。

ペニスは萎えきっているのに、
アナルは昨夜の挿入の記憶で疼いていた。

——来てほしい。
でも、怖い。
いや、来てほしい……。

突然、玄関のチャイムが鳴った。
7時45分。

ミサキは飛び上がるようにベッドから起き上がり、
慌ててウィッグを被り、
口紅を塗り直した。

昨夜のメイクが崩れたままの顔。
女装姿のまま、ドアに向かう。

鍵は、本当に開けっ放しにしていた。

最初は一人。
30代後半のサラリーマン風の男。

ネクタイを緩めたスーツ姿で、
無言で部屋に上がり込む。

ミサキの肩を強く掴み、
寝室に押し倒した。

「おはよう、ババア女装子。スレ見て飛んできたよ」。

男の息が熱く、
ミサキの首筋にかかる。

抵抗する間もなく、
スカートが捲り上げられ、
パンティがずらされる。

アナルに指が入れられ、
すぐにペニスが押し込まれた。

痛みと快楽が混じり、
ミサキは喘ぎ声を漏らす。

「あっ……んんっ……来てくれて、ありがとう……」。

8時を過ぎると、次は二人連れ。
20代の若者たち。

部屋に入るなり、
笑いながらミサキを囲む。

一人が口を塞ぎ、
もう一人が後ろから犯す。

「スレのババア、想像よりエロいじゃん。もっと鳴けよ」。

ミサキの口にペニスを押し込まれ、
喉奥まで突かれる。

涙が溢れ、
えずきながらも、
興奮が体を熱くする。

9時になると、大学生らしきグループが4人。
ビール缶を持って乱入。

「パーティー開始www」。

ミサキは床に引きずり出され、
四つん這いにされる。

前から口を、
後ろからアナルを交互に使われ、
精液を浴びせられる。

ウィッグがずれ、
口紅が頬にまで伸びる。

部屋の空気が重く、
精液の匂いが濃くなる。

9時半には、もう12人。
見知らぬ中年男が3人追加で現れ、
ミサキの体を玩具のように弄ぶ。

一人がスマホで撮影し、
実況中継をスレにアップ。

「今、ババア女装子の自宅凸中www アナルもう緩みすぎて拳入るレベル。みんな来いよ」

「顔射連発で目が開けられないw ババアの顔、真っ白ww」。

ミサキはもう立ち上がることもできない。
体中が精液でべとべと。

乳首は摘まれすぎて腫れ、
アナルは広がりきって感覚が麻痺し始めている。

なのに、快楽の波が止まらない。
男たちの嘲笑と喘ぎ声が部屋に響く。

「もっと締めろよ、ババア」

「次は俺の番。拳入れて拡張してやる」。

10時を回ると、
玄関が開けっぱなしになり、
廊下にまで人の列ができていた。

ミサキはリビングのソファに移動させられ、
四つん這いの姿勢で固定される。

前から口にペニスを、
後ろからアナルに、
時には同時に二本を押し込まれ、
犯され続ける。

体が揺さぶられ、
吐き気がするのに、
ペニクリが反応してしまう。

「あぁ……もっと……壊して……」。

誰かがミサキのペニクリを握り、
強引に扱き始める。

「ババアもイケよ、一緒に」。

射精の快感が爆発し、
ミサキは自分の精液を床に撒き散らす。

男たちは笑い、
さらなる凌辱を加える。

11時。
意識が遠のく瞬間、
誰かが耳元で囁いた。

「明日も鍵開けとけよ、ババア。毎日来てやるから」。

ミサキは、涙と精液にまみれた顔で、
小さく頷いた。

もう、逃げ場なんてどこにもない。
この部屋が、快楽地獄の中心になった。

ネットのスレッドはさらに伸び、
ミサキの運命を嘲笑うレスが溢れていく。

——次は、何人来るのだろう。
ミサキの心は、恐怖と期待で震えていた。

快楽地獄は、
ついにミサキの「家」まで飲み込んだ。

そして、それはまだ始まったばかりだった。

(第6話 終わり)

次話へ続く……