主任の崩壊は、会社全体の崩壊の始まりだった。

本来弱者を護る為に作られた制度を鋼メンタルを持つ強者が手にしたらどういう事になるか?
訴えた者の声が真実とされ、事実は切り捨てられる。
やがてダメな社員たちは気付いた。訴えれば勝てる、と。
小さな摩擦は冤罪へと変わり、管理職は沈黙した。
カルマホームは健全化を目指すほどに、制度の寄生虫に蝕まれていった。

Pは一人の社員ではなかった。
彼女は制度の隙間から生まれた寄生虫であり、被害者の仮面をかぶった怪物だった。
その姿はやがて社内に感染し、寄生虫社員は増殖していった。
制度は健全化のために作られたはずだった。だが今や、それは寄生虫を増殖させる温床となっていた。

カルマホームを蝕んだ寄生虫社員は、やがて会社の枠を越えていった。
その手口は他の企業へ、そして社会全体へと感染していった。
学校では生徒が教師を訴え、家庭では親子の言葉が切り抜かれ、政治の場でも発言が意図的に切り抜かれて発信される。
訴えた者の声が絶対視され拡散される。

人々は気付いた。寄生虫社員とは特別な存在ではない。
それは人間の本質が形を変えた姿にすぎない。
嘘をつくこと、被害者を演じること、真実を歪めること――
それらは人間の弱さの裏返しであり、誰の中にも潜んでいる。

社会は制度を信じることで秩序を保とうとするが、人間の欲望は制度を利用するために動く。
そのとき、真実はどこにあるのか。
正義とは何を守るべきものなのか。

寄生虫社員は、制度の影に潜んでいる。
会社にも、学校にも、家庭にも、そして私たち自身の心の中にも。
この寓話が突きつける問いはただひとつ。

あなたは寄生虫にならないと断言出来るだろうか?