◇青海市街地◇
「お、……おぉお……ぉぉおおおお……ッ」
キィィィイイイイ――……ッッ。
喉奥から獣の咆哮にも似た雄叫びを発しながら構えた銃をぶっ放すジュン。

【映像】コピペ↓
https://videotourl.com/videos/1778491334762-6a435945-a5a8-4e2d-8775-5e597ac8f41a.mp4
「おぉぉぉぉおおおおおおお――ッッ!!」
キィィイイ――……カッ。
銃身から迸る真っ白な神霊力が、市街地一帯のパノラマを閃輝色に染める。
「――――爆裂無反動砲(パンツァーファウスト)ッッ!!」
ドキュゥッ、……――バガァァア――……ッッ!!
閃光の様な爆音に続き、爆心地から放射状に拡がる波動が地面を轟かせた。
「グモォォォォオオオアアアアーーーッッ」
断末魔の如き絶叫を張り上げながら、神霊砲弾を正面から浴びる羆型魔獣。
ゴォォォオオ、……――オオオ――……ッ!!
蜷局を巻くかの如く光柱が魔獣の総身を包み、閃光の中に呑み込んでゆく。
「ゲァッ!?」
「ギャアッ、グゲァッ!!」
ザザァァ――……。
取り巻きの魔物衆が余りの威力に恐れを成し、一目散に路地裏へ避難する。
パァァァァアア――……。
地上から空高くへ光芒が立ち昇ってゆく。魂魄をも焼き尽くす一撃だった。
「すっ、……凄い……」
オォオォオ――……。
呼吸も忘れて成り行きを見守るセレス。過去に見た事のない壮絶な破壊力。
嘗ての異星間抗争ではジュンを襲撃もしたが、こんな攻撃は見た事がない。
「ジュン、……さん、……。私達には、……加減していたの……?」
「ま、まぁ。……ね。ぁたしの必殺技に比べたら何て事ないけどっ」
――ひくっ。
澄まし顔で取り繕うカミュではあるが、その美貌は明らかに強張っている。
カミュ自身、本気で怒ったジュンの姿を見た経験はこれまで殆どなかった。
「……ぁんの野郎……っ、ぁたしの、……――奴隷の癖にぃ……っ」
実際その驚異的な威力を目の当たりにした彼女が抱いたのは、――敵愾心。
本気でやり合う機会が今後あればコテンパンにして力の差を見せつけたい。

ゴゴゴ、ゴゴゴ――……。
地鳴りの様な鳴動が大気を震わせる中、濛々と上がった硝煙が晴れてゆく。
「…………」
おぉおぉお――……。
銃身を伸ばす学生服姿の男の前に、上半身を飛ばされた魔獣が立っていた。
シュゥゥ、ゥゥゥ――……。
断面からドス黒い血飛沫を噴き上げる魔獣の姿が、大気中に蒸散してゆく。
「…………」
シュゥゥウ――……。
天に昇って薄れてゆく塵芥を前に、ジュンは神妙な面持ちで十字架を切る。
過去、異星人中、唯一ジュンの事を気にかけてくれたのは彼女だけだった。
覇権争いを企て好戦的侵攻を繰り返す彼等の中で、ディアナだけは違った。
「……安らかに……」
弔いを兼ねたジュンなりの告別だったが、セレスには奇異に映ったようだ。
「ジュンさんは、……何を、していらっしゃるの?」
「んー? 成仏でも願って祈願してンじゃなーい?」
不満気に応えるカミュ。例え葬儀だろうと他の女性への目移りは許せない。
あの男は自分の事だけ見てればいい。浮気を働こうなら只では済まさない。
「な、何を……、そんなに怒っていらっしゃるの?」
「ぁたし? ゃ、ゃだなセレスぅ。怒ってないよ?」
きゃはは――っ。
あっけらかんと笑って誤魔化すカミュだったが、眼はつりあがったままだ。
ゥゥゥ――……、……フッ。
虚空に消える塵芥。霊気砲弾が旧支配層の守護者を跡形もなく霧散させた。
◇後方の物陰◇

ガラガラガラ――……。
瓦解する建築物群の陰に身を隠すようにして、成り行きを見守る三体の影。
「ひ、ひぃぃ~っ。な、何ですの~あの出鱈目な破壊力はぁ~っ?」
「ぐ、ぐぬぬ……ッ、ジュン坊めェ~、何時のまにあないな……ッ」
歯噛みして悔しがる学生と担任。その傍で、褐色肌の男が身震いしている。
「ふ、フフッ、良いですぞジュン殿……、とても良い事です……ッ」
オォオォオ――……。
ちゃんこ同盟は恐慌の渦中にあった。目下、魔王の力を垣間見たばかりだ。
圧倒的かつ身の毛もよだつ暴力を目の当たりに、身体の震えが止まらない。
「ど、ど~すんですか先生ィ~! 喧嘩売っちゃってますよぉ~?」
「じ、……じゃかましッ! な、何とかするしかないじゃろがぁッ」
「ど~にも出来ませんて~っ! ボク達、普通の人間ですよぉ~?」
「えぇい、狼狽えるんじゃないわッ! そんなんで、いちいち……」
――ガチガチ……ッ。
顔面真っ青の安田の横で、中年太鼓ッ腹ハゲがガチガチと歯を打ち鳴らす。
「奴だッ! あの男こそッ、……拙者が命を懸けるに値する……ッ」
「どーすんスか先生ィ。こんな訳分からん男を兄貴呼ばわりしてぇ」
「知るかドアホ。安田ぁ~お前ェが勝手にその変質者ぁ兄貴ってェ」
不意のノイズに、急激に興奮度の覚めたヘラクレスがビクッと反応を示す。
「……変質者? 近くに変質者が居るだと? 何処だ、……ああ?」
こめかみに血管をビキビキ浮き立たせ、二人の男を睨みつける褐色肌の男。
出来れば聞き間違いであって欲しい――。その願いは、見事に叶えられた。
「ゃ、……――安田ぁッ、――即興じゃ……ッ」
「ここですよぉ~兄貴ぃい。この太鼓ッ腹ぁ見てやって下さぁいっ」
シュザ――ッ。
満面に気持ち悪い程の引き攣り笑いを浮かべた安田が両手をヒラつかせる。
「ここにおわすは、我が学園の担任、下洗御大となりまぁ~すっ!」
♪ジャッカ、ジャッカ♪~♪
ふんどし一丁に模様替えした太鼓ッ腹がひょっとこ顔で即興の音頭を踊る。
「ぁよいしょっ! モイッチョウ、一張羅で、どっこいしょおっ!」
「……」
――ポカーン……。
あんぐりと口を開けるヘラクレスの口元に、歪んだ薄笑いが広がってゆく。
「ふ、……ふははははッ! はーはっはっはっはッ!!」
建物の陰で大笑いをあげる三人の男衆。太鼓ッ腹男が指パッチンを決める。
「よしゃッ、上手く誤魔化せたで安田ぁ~」
「でっ、……ですよねぇ~っ、御大ィ~♪」
だーはっはっはっはっはーーーッ。
暗雲に覆われた黒天に向けて、声を揃え高笑いを張り上げるちゃんこ同盟。
◇対流圏下層◇
フィィィィ――……、シュゥゥゥ……。
その上空およそ数百メートル。ロケットスラスターからの噴射が止まった。
地表まで降下していたコズエだが、標的の生体信号の消失を以て活動中断。
「……っ」
キュィ――っ。
紅いネコ眼をパチクリと瞬かせながら、不思議そうに小首を傾げるコズエ。
つい今しがた、懐かしいルシファーの神霊力を目の当たりにしたばかりだ。
天界での一時が脳裏を掠める。不本意ながら暫しの感傷に耽ってしまった。
「……そぅ……。……助力は要らないって訳ね……?」
寂しそうに独り言ちると、注意を神霊力が混在するコンコース側へ向ける。
「……なら後でまた。駅前広場で再会しましょう……」
シュボッ。――フィィィ――……ッ。
駅前広場へ推進力のベクトルを変更すると、背中のスラスターを点火した。
◇コズエの回想◇
ヴィィィイ――……。
軽快に街中を疾走するバイク。天界では良くツーリングを楽しんだものだ。
大空の飛行も良いが、俯瞰からの視点というのも些か食傷気味ではあった。

【映像】コピペ↓
https://videotourl.com/videos/1778489342166-88622d8d-bc71-44b3-8986-7067b883d412.mp4
「ふあ~ぁ……♪」
夕陽に煌く街中を疾走するバイク。心底から解放感に満ちた吐息が漏れる。
景色の移り変わりが愉しめて、大空を飛翔するのとはまた違った趣がある。
高級バイクで世界の観光名所をツーリング旅行するのが隠れた趣味だった。
気の合うバイク仲間といえば、――ジュンの姿が真っ先に浮かび上がった。
旅行先で飲食を共にする事もあれば、宿泊を共にする仲でもあったが――。

【映像】
https://videotourl.com/videos/1778684941818-37ac3cb0-b9c3-480d-b9da-2c1c10bbfb68.mp4
密かに行為を寄せていた彼は、カミュという我が儘娘に捕まってしまった。
「……っ」
恋敵ではあるが、ミカエルは四大熾天使。仲間割れは彼女の主義に反する。
生来引っ込み思案な性分でもあるコズエは自ら身を引く事で衝突を避けた。
が、――未だに燻っている蟠りがある。何時かカミュとは決着をつけたい。
「お、……おぉお……ぉぉおおおお……ッ」
キィィィイイイイ――……ッッ。
喉奥から獣の咆哮にも似た雄叫びを発しながら構えた銃をぶっ放すジュン。

【映像】コピペ↓
https://videotourl.com/videos/1778491334762-6a435945-a5a8-4e2d-8775-5e597ac8f41a.mp4
「おぉぉぉぉおおおおおおお――ッッ!!」
キィィイイ――……カッ。
銃身から迸る真っ白な神霊力が、市街地一帯のパノラマを閃輝色に染める。
「――――爆裂無反動砲(パンツァーファウスト)ッッ!!」
ドキュゥッ、……――バガァァア――……ッッ!!
閃光の様な爆音に続き、爆心地から放射状に拡がる波動が地面を轟かせた。
「グモォォォォオオオアアアアーーーッッ」
断末魔の如き絶叫を張り上げながら、神霊砲弾を正面から浴びる羆型魔獣。
ゴォォォオオ、……――オオオ――……ッ!!
蜷局を巻くかの如く光柱が魔獣の総身を包み、閃光の中に呑み込んでゆく。
「ゲァッ!?」
「ギャアッ、グゲァッ!!」
ザザァァ――……。
取り巻きの魔物衆が余りの威力に恐れを成し、一目散に路地裏へ避難する。
パァァァァアア――……。
地上から空高くへ光芒が立ち昇ってゆく。魂魄をも焼き尽くす一撃だった。
「すっ、……凄い……」
オォオォオ――……。
呼吸も忘れて成り行きを見守るセレス。過去に見た事のない壮絶な破壊力。
嘗ての異星間抗争ではジュンを襲撃もしたが、こんな攻撃は見た事がない。
「ジュン、……さん、……。私達には、……加減していたの……?」
「ま、まぁ。……ね。ぁたしの必殺技に比べたら何て事ないけどっ」
――ひくっ。
澄まし顔で取り繕うカミュではあるが、その美貌は明らかに強張っている。
カミュ自身、本気で怒ったジュンの姿を見た経験はこれまで殆どなかった。
「……ぁんの野郎……っ、ぁたしの、……――奴隷の癖にぃ……っ」
実際その驚異的な威力を目の当たりにした彼女が抱いたのは、――敵愾心。
本気でやり合う機会が今後あればコテンパンにして力の差を見せつけたい。

ゴゴゴ、ゴゴゴ――……。
地鳴りの様な鳴動が大気を震わせる中、濛々と上がった硝煙が晴れてゆく。
「…………」
おぉおぉお――……。
銃身を伸ばす学生服姿の男の前に、上半身を飛ばされた魔獣が立っていた。
シュゥゥ、ゥゥゥ――……。
断面からドス黒い血飛沫を噴き上げる魔獣の姿が、大気中に蒸散してゆく。
「…………」
シュゥゥウ――……。
天に昇って薄れてゆく塵芥を前に、ジュンは神妙な面持ちで十字架を切る。
過去、異星人中、唯一ジュンの事を気にかけてくれたのは彼女だけだった。
覇権争いを企て好戦的侵攻を繰り返す彼等の中で、ディアナだけは違った。
「……安らかに……」
弔いを兼ねたジュンなりの告別だったが、セレスには奇異に映ったようだ。
「ジュンさんは、……何を、していらっしゃるの?」
「んー? 成仏でも願って祈願してンじゃなーい?」
不満気に応えるカミュ。例え葬儀だろうと他の女性への目移りは許せない。
あの男は自分の事だけ見てればいい。浮気を働こうなら只では済まさない。
「な、何を……、そんなに怒っていらっしゃるの?」
「ぁたし? ゃ、ゃだなセレスぅ。怒ってないよ?」
きゃはは――っ。
あっけらかんと笑って誤魔化すカミュだったが、眼はつりあがったままだ。
ゥゥゥ――……、……フッ。
虚空に消える塵芥。霊気砲弾が旧支配層の守護者を跡形もなく霧散させた。
◇後方の物陰◇

ガラガラガラ――……。
瓦解する建築物群の陰に身を隠すようにして、成り行きを見守る三体の影。
「ひ、ひぃぃ~っ。な、何ですの~あの出鱈目な破壊力はぁ~っ?」
「ぐ、ぐぬぬ……ッ、ジュン坊めェ~、何時のまにあないな……ッ」
歯噛みして悔しがる学生と担任。その傍で、褐色肌の男が身震いしている。
「ふ、フフッ、良いですぞジュン殿……、とても良い事です……ッ」
オォオォオ――……。
ちゃんこ同盟は恐慌の渦中にあった。目下、魔王の力を垣間見たばかりだ。
圧倒的かつ身の毛もよだつ暴力を目の当たりに、身体の震えが止まらない。
「ど、ど~すんですか先生ィ~! 喧嘩売っちゃってますよぉ~?」
「じ、……じゃかましッ! な、何とかするしかないじゃろがぁッ」
「ど~にも出来ませんて~っ! ボク達、普通の人間ですよぉ~?」
「えぇい、狼狽えるんじゃないわッ! そんなんで、いちいち……」
――ガチガチ……ッ。
顔面真っ青の安田の横で、中年太鼓ッ腹ハゲがガチガチと歯を打ち鳴らす。
「奴だッ! あの男こそッ、……拙者が命を懸けるに値する……ッ」
「どーすんスか先生ィ。こんな訳分からん男を兄貴呼ばわりしてぇ」
「知るかドアホ。安田ぁ~お前ェが勝手にその変質者ぁ兄貴ってェ」
不意のノイズに、急激に興奮度の覚めたヘラクレスがビクッと反応を示す。
「……変質者? 近くに変質者が居るだと? 何処だ、……ああ?」
こめかみに血管をビキビキ浮き立たせ、二人の男を睨みつける褐色肌の男。
出来れば聞き間違いであって欲しい――。その願いは、見事に叶えられた。
「ゃ、……――安田ぁッ、――即興じゃ……ッ」
「ここですよぉ~兄貴ぃい。この太鼓ッ腹ぁ見てやって下さぁいっ」
シュザ――ッ。
満面に気持ち悪い程の引き攣り笑いを浮かべた安田が両手をヒラつかせる。
「ここにおわすは、我が学園の担任、下洗御大となりまぁ~すっ!」
♪ジャッカ、ジャッカ♪~♪
ふんどし一丁に模様替えした太鼓ッ腹がひょっとこ顔で即興の音頭を踊る。
「ぁよいしょっ! モイッチョウ、一張羅で、どっこいしょおっ!」
「……」
――ポカーン……。
あんぐりと口を開けるヘラクレスの口元に、歪んだ薄笑いが広がってゆく。
「ふ、……ふははははッ! はーはっはっはっはッ!!」
建物の陰で大笑いをあげる三人の男衆。太鼓ッ腹男が指パッチンを決める。
「よしゃッ、上手く誤魔化せたで安田ぁ~」
「でっ、……ですよねぇ~っ、御大ィ~♪」
だーはっはっはっはっはーーーッ。
暗雲に覆われた黒天に向けて、声を揃え高笑いを張り上げるちゃんこ同盟。
◇対流圏下層◇
フィィィィ――……、シュゥゥゥ……。
その上空およそ数百メートル。ロケットスラスターからの噴射が止まった。
地表まで降下していたコズエだが、標的の生体信号の消失を以て活動中断。
「……っ」
キュィ――っ。
紅いネコ眼をパチクリと瞬かせながら、不思議そうに小首を傾げるコズエ。
つい今しがた、懐かしいルシファーの神霊力を目の当たりにしたばかりだ。
天界での一時が脳裏を掠める。不本意ながら暫しの感傷に耽ってしまった。
「……そぅ……。……助力は要らないって訳ね……?」
寂しそうに独り言ちると、注意を神霊力が混在するコンコース側へ向ける。
「……なら後でまた。駅前広場で再会しましょう……」
シュボッ。――フィィィ――……ッ。
駅前広場へ推進力のベクトルを変更すると、背中のスラスターを点火した。
◇コズエの回想◇
ヴィィィイ――……。
軽快に街中を疾走するバイク。天界では良くツーリングを楽しんだものだ。
大空の飛行も良いが、俯瞰からの視点というのも些か食傷気味ではあった。

【映像】コピペ↓
https://videotourl.com/videos/1778489342166-88622d8d-bc71-44b3-8986-7067b883d412.mp4
「ふあ~ぁ……♪」
夕陽に煌く街中を疾走するバイク。心底から解放感に満ちた吐息が漏れる。
景色の移り変わりが愉しめて、大空を飛翔するのとはまた違った趣がある。
高級バイクで世界の観光名所をツーリング旅行するのが隠れた趣味だった。
気の合うバイク仲間といえば、――ジュンの姿が真っ先に浮かび上がった。
旅行先で飲食を共にする事もあれば、宿泊を共にする仲でもあったが――。

【映像】
https://videotourl.com/videos/1778684941818-37ac3cb0-b9c3-480d-b9da-2c1c10bbfb68.mp4
密かに行為を寄せていた彼は、カミュという我が儘娘に捕まってしまった。
「……っ」
恋敵ではあるが、ミカエルは四大熾天使。仲間割れは彼女の主義に反する。
生来引っ込み思案な性分でもあるコズエは自ら身を引く事で衝突を避けた。
が、――未だに燻っている蟠りがある。何時かカミュとは決着をつけたい。


