◇青海駅広場◇

ゴゴゴゴゴ――……。
駅を中心とした放射状に、地中奥深くより地鳴りの様な鳴動が轟いている。
「……マルスっ、この振動、……来てるよ、奴らが!」
「あぁ。混沌を齎すモノ共だ。宣戦布告のつもりかッ」
ギリ――……。
歯を食い縛る緑色の髪の男。レディに相対する橙色の髪の美少女が構える。
「さぁて、私達と一戦交えるつもり、あるんだよね?」
チャキ――……。
肩が上下する。息を荒げながら、レディが剣の切っ先を青眼に据え構える。
「……ぬかせ。侵略者風情が。誰が屈服などするかっ」
「侵略者だってさぁー。酷い物言いだよね、マルス?」
「俺に振るな。ハデス様の容態がお悪いこんな時にッ」

マルスに冷淡な態度を取られたアテナは、渋々レディの方へと向き直った。
「義兄さんは介護でお相手できないから、私がやるね」
「貴様らにこの地上は渡さんっ。全員処刑対象だっ!」
「……ふぅーん。私達に、何の信用もないんだねぇ~」
オォオォオ――……。
どうにも譲らないレディの頑なな態度に、アテナは深々と嘆息を漏らした。
「一応数千年もの間、平和条約を護ってきたんだけど」
「お前らだろっ、……最初に条約を破った連中はっ!」
――フィン……。
強情な相手に、これ以上の交渉は無意味と判じたアテナの手に銃身が顕現。
「なら石像になって貰うけど、言い残す事とかある?」
「ふざけるなよ……。我々を舐めた事、後悔するぞっ」
――キィィィイ――……。
微かな高域の飛翔音が急速接近中だ。が、昂ったレディの耳には入らない。
「磨き上げた私の美麗な剣技、受けてみるがよいっ!」
「興味はあるんだけどぉ……、邪魔が入ったみたい♪」
――バッ、――ドキュッ。
両手で構えた銃身を、頭上に掲げるアテナ。銃口から一条の光線が迸った。
「……――補足」
シュボ、……――ゴォオッ。
バックパックのニトロジェットエンジンが点火、少女の速度が倍速化する。
「――スカッド」
キュン、――バゴォオッ!!
粉砕音。右眼からの照射レーダーから位置を捕捉、刀剣を一閃させる少女。
加速した身体ごとコンコースのフロア上に着弾。地面を大きく陥没させる。
「……っ!?」
オォオォオ――……。
突然の飛翔体に瞠目するレディ。その眼が硝煙の渦中に少女の姿を捉えた。

「……お前、……ウリエルかっ?」
「ピピッ。目標、――いまだ残存」
感情の籠らない音声を発し、戦闘モードのコズエが白煙の中に眼を凝らす。
「そぅ。……石化で回避したのね」
「……くぅ……っ。強烈ゥ~……」
バキバキ――、ズズゥゥン……。
破砕音を散らしながら、堆く埋もれた瓦礫の中からアテナが這い出て来た。
◇
――チャキ……。
透明化した瓦礫の亀裂の中から這い出してきた少女が、やおら銃を構える。
「貴女も私達の邪魔するつもり? なら石像になって貰うけど?」
「……邪魔というか排除に来たのだけれど。何か問題あるかしら」
乱入者の、何ら抑揚のない無感情な声音に、アテナがむっと唇を尖らせた。
「大アリだってーのっ! 貴女達にも無関係じゃないんだからっ」
「……?」
小首を傾げるコズエ。異星人達は何らかの事情があって行動している様だ。
その事情が何かは不明。ミシェット始め上層部からも何も聞かされてない。
「事情は良く解らないけれど、私の現在の任務は異星人の排除よ」
「ぁーはいはい。分かったよ。邪魔するのなら消えて貰うからっ」
――チャキッ。
手に取った銃身を再度構えると、アテナは銃口を紅い髪の少女へと向けた。
「勝手にやってろ……、むっ、……これは好機ではないのかっ?」
オォオォオ――……。
周囲の状況を把握するレディ。マルスはどうもハデスに付きっきりの様だ。
ハデス撃破の絶好のチャンスではあるが、身体の自由がどうにも効かない。
ゴゴゴゴゴ――……。
地下深層で鳴り渡る重低音や振動の正体も不明だが、目下の標的はハデス。
「おのれ異星人どもめが……、この地上の覇権は渡さんぞ……っ」
「義姉さん、……無事だったか。良かった。奴さんはガス欠か?」
ヴヴヴ――……ヴン。
レディの傍に駆け付けてきた熱風蒸気が、黒ジャケットの男の姿を象った。
「ジャッカル。私は身体が動かん。ハデスの撃破を頼めるかっ!」
「そのつもりだ。だが、奴さん方ぁ様子が少しおかしくねェか?」
現在ハデスが何某かの儀式を行おうとしてる様だが、その目的は目下不明。
「なぁ、ハデスの目的って、俺達の殲滅じゃねーんじゃねェか?」
訝るジャッカル。だが、既に連中のお仲間の一人、バッカスを屠っている。
今更停戦の申し立ても面倒臭い。が、このまま被害を増やす訳にいかない。
「今からでも遅くねェ。あのアテナって奴の言い分、聞いてみっか」
「っ? バカ言うなっ! あの連中の事は私は昔から嫌いなんだっ」
「……私怨かよ……ッ」
侵略目的だと確信しての交戦だったが、果たしてそれは正しかったろうか。
熾天使ミシェットや宣託官、悪魔令嬢ストラディからの連絡も一向にない。
◇地下闘技場◇

ワァァアアア――ッ。
歓声が大きさを増す。館内全域が割れんばかりの野次と怒号に揺れている。
「おぉッとぉッ? 魔界、……異界の魔獣が進化したぁあーッ!?」
冴え渡るジェスのパフォーマンスだが、心なしか言い間違いが増えてきた。
ヴヴヴ――……。
リング上の魔獣の姿が、ノイズで時折バグる。再現性が追い付かない様だ。
「……んだよ、幽霊かよ? 俺も人の事は言ぇねェが……」
「直人っ! クマちゃん消えちゃう前に、倒しちゃってっ」
「……ぁん?」
キッ、と外野の野次を睨めつけながら、直人はぶっきらぼうに吐き捨てた。
「バーカ。どーせ消えんだろ? 無理に倒さなくたってよ」
――ガシャンっ!
コーナーポストのカバー部を手でぶん殴りながら、ディアナが大口を開く。
「今でしょっ! 何時やるのっ! 今倒しちゃいなよっ!」
「……お前がやれよ。つーか、この魔獣まだヤれんのか?」
ヴヴ、――ヴヴヴ――……。
ブロックノイズ調の魔獣の乱れ具合を前にして、戦意が急速に萎えてゆく。
「俺は何時でもヤってやんよ。が、コイツの方はもぅ……」
今にも周囲の背景に同化しそうな魔獣の姿に、流石の直人も言葉を濁した。
「何時でもヤるって? この嘘吐き、……ふにゃちんっ!」
「……ぁ?」
パチパチ目を瞬かせる直人。鬼面の相を向けるが、ディアナも鬼面の相だ。
「ぁんたなんか肝心な時に勃たないふにゃちんの癖にっ!」
ドォォオオ――……。
客席のざわめきが大きくなった。突如勃発した味方割れに観衆も総立ちだ。

「おぉおッ、マジか兄ちゃあんッ! 仲間じゃねぇかあッ」
「ボクも応援してるからっ! だから頑張るんだよぉっ?」
「しゃぁあッ! 不感症でも落ち込まないでねぇぇんっ♪」
――バィィンッ!
奇抜なコスプレに身を包んだジェンダーフリーが自慢の巨乳を揮っている。
「どうしたァ? ブルー陣営はッ、仲間割れかぁあッ!?」
『グルぁァアアアアーーッ!!』
ドドドドド――ッ!
いがみ合うディアナと直人の二人。その隙を、魔獣が逃さず突進してくる。
「見てな、ぁんたのふにゃちん、斬り落としてやるからっ」
「るっせぇわッ! お前の裸じゃなきゃ元気になんだよッ」
『ガルルるぁァァアアアッ!!』
「――ッ?」
キュ、――ボッ。
大振りフックが敢えなく空を斬り、……直人の後方、ディアナに降り注ぐ。
「……っ!」
カッ、ドゴォオッ!!
刹那の閃光が会場全域を白色に染め上げ、リング上に爆炎を巻き起こした。
「ぁっちゃ~。やっちゃったぁぁ」
「……チッ。ンだよあの武装……」
――フィン――……。
舌打ちする直人。ディアナの両肩付近に二基の砲身がふわりと浮いている。
『…………ッ』
シュゥゥゥゥ――……。
リング中央に佇立する羆型魔獣の上半身が、すっかり原型を留めていない。
「……な、なんだ今のフラッシュは……、一体、何がッ?」
「お、おぉい、見ろよクマ公が……ッ、吹き飛んで……ッ」
「マジかよあの男……、どんな魔法を使いやがった……?」

……ワァァアア――ッ!!
一瞬の沈黙の後、総立ちの熱狂的な観衆が惜しみないオベーションを送る。
『あぁーっとぉッ。これはスタンディングダウンかぁッ?』
ドォオォオ――……。
興奮に沸き立つ観衆の地団駄と歓声で全館が地鳴りの様に轟く地下闘技場。
「どーなってンだ、あのバ火力ッ」
『ぁワぁ~ン、ぁトゥゥウ~ッ♪』
瞠目する直人。慌ててリングに飛び込んだジェスがカウントを取り始める。
「ゃった~。ぁはっ。直人っち、一つ貸しだかんね~っ♪」
「ふざけろッ! そんだけ強いンなら一人でヤれんだろッ」
罵倒が口を衝いて出る。やはりこの偽ディアナ――、只者ではなさそうだ。

ゴゴゴゴゴ――……。
駅を中心とした放射状に、地中奥深くより地鳴りの様な鳴動が轟いている。
「……マルスっ、この振動、……来てるよ、奴らが!」
「あぁ。混沌を齎すモノ共だ。宣戦布告のつもりかッ」
ギリ――……。
歯を食い縛る緑色の髪の男。レディに相対する橙色の髪の美少女が構える。
「さぁて、私達と一戦交えるつもり、あるんだよね?」
チャキ――……。
肩が上下する。息を荒げながら、レディが剣の切っ先を青眼に据え構える。
「……ぬかせ。侵略者風情が。誰が屈服などするかっ」
「侵略者だってさぁー。酷い物言いだよね、マルス?」
「俺に振るな。ハデス様の容態がお悪いこんな時にッ」

マルスに冷淡な態度を取られたアテナは、渋々レディの方へと向き直った。
「義兄さんは介護でお相手できないから、私がやるね」
「貴様らにこの地上は渡さんっ。全員処刑対象だっ!」
「……ふぅーん。私達に、何の信用もないんだねぇ~」
オォオォオ――……。
どうにも譲らないレディの頑なな態度に、アテナは深々と嘆息を漏らした。
「一応数千年もの間、平和条約を護ってきたんだけど」
「お前らだろっ、……最初に条約を破った連中はっ!」
――フィン……。
強情な相手に、これ以上の交渉は無意味と判じたアテナの手に銃身が顕現。
「なら石像になって貰うけど、言い残す事とかある?」
「ふざけるなよ……。我々を舐めた事、後悔するぞっ」
――キィィィイ――……。
微かな高域の飛翔音が急速接近中だ。が、昂ったレディの耳には入らない。
「磨き上げた私の美麗な剣技、受けてみるがよいっ!」
「興味はあるんだけどぉ……、邪魔が入ったみたい♪」
――バッ、――ドキュッ。
両手で構えた銃身を、頭上に掲げるアテナ。銃口から一条の光線が迸った。
「……――補足」
シュボ、……――ゴォオッ。
バックパックのニトロジェットエンジンが点火、少女の速度が倍速化する。
「――スカッド」
キュン、――バゴォオッ!!
粉砕音。右眼からの照射レーダーから位置を捕捉、刀剣を一閃させる少女。
加速した身体ごとコンコースのフロア上に着弾。地面を大きく陥没させる。
「……っ!?」
オォオォオ――……。
突然の飛翔体に瞠目するレディ。その眼が硝煙の渦中に少女の姿を捉えた。

「……お前、……ウリエルかっ?」
「ピピッ。目標、――いまだ残存」
感情の籠らない音声を発し、戦闘モードのコズエが白煙の中に眼を凝らす。
「そぅ。……石化で回避したのね」
「……くぅ……っ。強烈ゥ~……」
バキバキ――、ズズゥゥン……。
破砕音を散らしながら、堆く埋もれた瓦礫の中からアテナが這い出て来た。
◇
――チャキ……。
透明化した瓦礫の亀裂の中から這い出してきた少女が、やおら銃を構える。
「貴女も私達の邪魔するつもり? なら石像になって貰うけど?」
「……邪魔というか排除に来たのだけれど。何か問題あるかしら」
乱入者の、何ら抑揚のない無感情な声音に、アテナがむっと唇を尖らせた。
「大アリだってーのっ! 貴女達にも無関係じゃないんだからっ」
「……?」
小首を傾げるコズエ。異星人達は何らかの事情があって行動している様だ。
その事情が何かは不明。ミシェット始め上層部からも何も聞かされてない。
「事情は良く解らないけれど、私の現在の任務は異星人の排除よ」
「ぁーはいはい。分かったよ。邪魔するのなら消えて貰うからっ」
――チャキッ。
手に取った銃身を再度構えると、アテナは銃口を紅い髪の少女へと向けた。
「勝手にやってろ……、むっ、……これは好機ではないのかっ?」
オォオォオ――……。
周囲の状況を把握するレディ。マルスはどうもハデスに付きっきりの様だ。
ハデス撃破の絶好のチャンスではあるが、身体の自由がどうにも効かない。
ゴゴゴゴゴ――……。
地下深層で鳴り渡る重低音や振動の正体も不明だが、目下の標的はハデス。
「おのれ異星人どもめが……、この地上の覇権は渡さんぞ……っ」
「義姉さん、……無事だったか。良かった。奴さんはガス欠か?」
ヴヴヴ――……ヴン。
レディの傍に駆け付けてきた熱風蒸気が、黒ジャケットの男の姿を象った。
「ジャッカル。私は身体が動かん。ハデスの撃破を頼めるかっ!」
「そのつもりだ。だが、奴さん方ぁ様子が少しおかしくねェか?」
現在ハデスが何某かの儀式を行おうとしてる様だが、その目的は目下不明。
「なぁ、ハデスの目的って、俺達の殲滅じゃねーんじゃねェか?」
訝るジャッカル。だが、既に連中のお仲間の一人、バッカスを屠っている。
今更停戦の申し立ても面倒臭い。が、このまま被害を増やす訳にいかない。
「今からでも遅くねェ。あのアテナって奴の言い分、聞いてみっか」
「っ? バカ言うなっ! あの連中の事は私は昔から嫌いなんだっ」
「……私怨かよ……ッ」
侵略目的だと確信しての交戦だったが、果たしてそれは正しかったろうか。
熾天使ミシェットや宣託官、悪魔令嬢ストラディからの連絡も一向にない。
◇地下闘技場◇

ワァァアアア――ッ。
歓声が大きさを増す。館内全域が割れんばかりの野次と怒号に揺れている。
「おぉッとぉッ? 魔界、……異界の魔獣が進化したぁあーッ!?」
冴え渡るジェスのパフォーマンスだが、心なしか言い間違いが増えてきた。
ヴヴヴ――……。
リング上の魔獣の姿が、ノイズで時折バグる。再現性が追い付かない様だ。
「……んだよ、幽霊かよ? 俺も人の事は言ぇねェが……」
「直人っ! クマちゃん消えちゃう前に、倒しちゃってっ」
「……ぁん?」
キッ、と外野の野次を睨めつけながら、直人はぶっきらぼうに吐き捨てた。
「バーカ。どーせ消えんだろ? 無理に倒さなくたってよ」
――ガシャンっ!
コーナーポストのカバー部を手でぶん殴りながら、ディアナが大口を開く。
「今でしょっ! 何時やるのっ! 今倒しちゃいなよっ!」
「……お前がやれよ。つーか、この魔獣まだヤれんのか?」
ヴヴ、――ヴヴヴ――……。
ブロックノイズ調の魔獣の乱れ具合を前にして、戦意が急速に萎えてゆく。
「俺は何時でもヤってやんよ。が、コイツの方はもぅ……」
今にも周囲の背景に同化しそうな魔獣の姿に、流石の直人も言葉を濁した。
「何時でもヤるって? この嘘吐き、……ふにゃちんっ!」
「……ぁ?」
パチパチ目を瞬かせる直人。鬼面の相を向けるが、ディアナも鬼面の相だ。
「ぁんたなんか肝心な時に勃たないふにゃちんの癖にっ!」
ドォォオオ――……。
客席のざわめきが大きくなった。突如勃発した味方割れに観衆も総立ちだ。

「おぉおッ、マジか兄ちゃあんッ! 仲間じゃねぇかあッ」
「ボクも応援してるからっ! だから頑張るんだよぉっ?」
「しゃぁあッ! 不感症でも落ち込まないでねぇぇんっ♪」
――バィィンッ!
奇抜なコスプレに身を包んだジェンダーフリーが自慢の巨乳を揮っている。
「どうしたァ? ブルー陣営はッ、仲間割れかぁあッ!?」
『グルぁァアアアアーーッ!!』
ドドドドド――ッ!
いがみ合うディアナと直人の二人。その隙を、魔獣が逃さず突進してくる。
「見てな、ぁんたのふにゃちん、斬り落としてやるからっ」
「るっせぇわッ! お前の裸じゃなきゃ元気になんだよッ」
『ガルルるぁァァアアアッ!!』
「――ッ?」
キュ、――ボッ。
大振りフックが敢えなく空を斬り、……直人の後方、ディアナに降り注ぐ。
「……っ!」
カッ、ドゴォオッ!!
刹那の閃光が会場全域を白色に染め上げ、リング上に爆炎を巻き起こした。
「ぁっちゃ~。やっちゃったぁぁ」
「……チッ。ンだよあの武装……」
――フィン――……。
舌打ちする直人。ディアナの両肩付近に二基の砲身がふわりと浮いている。
『…………ッ』
シュゥゥゥゥ――……。
リング中央に佇立する羆型魔獣の上半身が、すっかり原型を留めていない。
「……な、なんだ今のフラッシュは……、一体、何がッ?」
「お、おぉい、見ろよクマ公が……ッ、吹き飛んで……ッ」
「マジかよあの男……、どんな魔法を使いやがった……?」

……ワァァアア――ッ!!
一瞬の沈黙の後、総立ちの熱狂的な観衆が惜しみないオベーションを送る。
『あぁーっとぉッ。これはスタンディングダウンかぁッ?』
ドォオォオ――……。
興奮に沸き立つ観衆の地団駄と歓声で全館が地鳴りの様に轟く地下闘技場。
「どーなってンだ、あのバ火力ッ」
『ぁワぁ~ン、ぁトゥゥウ~ッ♪』
瞠目する直人。慌ててリングに飛び込んだジェスがカウントを取り始める。
「ゃった~。ぁはっ。直人っち、一つ貸しだかんね~っ♪」
「ふざけろッ! そんだけ強いンなら一人でヤれんだろッ」
罵倒が口を衝いて出る。やはりこの偽ディアナ――、只者ではなさそうだ。


