Excalibur

 ◇テラスカフェ◇



 ざわ、ざわ――……。
 夜半のテラスカフェは相変わらず和やかな会話や街の雑踏で賑わっている。
「おい、かなり経ったが、……まだ時間がかかりそうなのか?」
「ぅ、ぅん……。もぅ少しかかりそう。今、再生中だから……」
 キィィィィ――……。
 破けた下着を再生するのに多少の時間を要するとの事だったが、随分遅い。
 夜目が利く為、ディアナの表情は良く解るが、まだ頬が赤らんでいる様だ。
「破けた衣類を再生できるのか? やはり先程のダメージが?」
「ぅ、……ぅん。それもぁるけど。色々と時間がかかるんだよ」
「……そうかい……」
 可憐に恥じらう彼女の姿は、先程まで痴態を晒していた人物とは思い難い。
 直人が助ける迄、アへ顔を晒して陰部から小水を飛沫かせていた様な女だ。
 が、――ゴム弾デバイスによる洗脳下にあった事実は考慮せねばなるまい。
「発見がもう少し遅れていれば、危うかったかもしれないな?」
「ぁ~ん。……そだねー。ぅー。まぁだ頭がクラクラするぅ~」
 椅子に座り込んだまま、ミニスカの裾を両手で抑え裂け目を隠すディアナ。
「すっごいジンジンするぅ~。擦られ過ぎてビリビリするぅ~」
「……そうかい……」
 シュゥゥゥ――……。
 甘酸っぱい匂いに混ざって、香りの良いスチーム様の蒸気が上がっている。
 再生にあとどれだけかかるか判らないが、取り合えず待つしかなさそうだ。
「……ありがとね?」
「ん? ……何がだ」
 目線をディアナに向ける直人。青い眼は潤み、頬の紅潮はまだ残っている。
「まだお礼言ってなかったっしょ? 今、言っとこうと思って」
「別にいいよ。困ってる奴が居れば助けるのが筋ってものだろ」
 至極当然の事を言ったまでだ。が、ディアナの反応は何時もと違っていた。



 普段の傲慢な態度がすっかり形を顰め、しおらしい様相へと変わっている。
「……優しいよね。そーゆーところ。誰に対してもそうなの?」
「お、おい、……勘違いするなよ? 俺はただ自分の為に――」
「貴方、何時もぁたしの事、助けてくれるよね。……なんで?」
「……ッ?」
 面食らう直人。頬を染め優しく微笑むディアナは、眦に涙を浮かべていた。
「……何でって、……俺は、お前が……――ッ?」
 口を噤む直人。楓の残像がチラつく。ある言葉を発する事が出来ない――。
「少し、……夜風にあたってくる……直ぐ戻るよ」
 ザッ――。
 再度、群衆に紛れる直人。動揺してる姿をディアナに見られたくなかった。