そして、そこまで言った私は、すぐ近くにあるジョサイアの顔が、薄暗い馬車の中でもわかるくらいに赤くなってしまっているのに気がついた。

 今までずっと、お酒に弱かったり赤面症なのかと思っていたけど……これって、彼が私のことが、好きだから?

 そうやって意識してしまうと、急にこの状況が恥ずかしくなった。握られている手も、息がかかるくらいに間近にある綺麗な顔も。

 逃げ出したいくらいに、恥ずかしい。

「僕はレニエラが僕に心を開いてくれるには、恐らく長い時間がかかると思いました。だから、とりあえずでも結婚してくれるなら、それだけで満足だと……貴族離婚には両者の同意が、必要ですし」

「それって、私の弟もジョサイアと結婚する前に何度も暗示にかけるくらいに言ってましたわ。一度結婚したら、なかなか離婚出来ないんだからって」

 アメデオからも口を酸っぱくして似たようなことを何度も言われていたけど、まさかジョサイアがそんなことを考えていたなんて。

 今まで思ってもいなかった。