”彼女”を支えること。
 それが、僕に与えられた、最初の役目だった。

 生まれつき、彼女は病を患っていた。
 彼女のサポートロボットとして、僕は作られた。

「よろしくね、レイ!」

 彼女の笑顔は、まるで光そのものだった。
 まるで、病の影など感じさせない。
 彼女の瞳は、いつだって強い生命に満ちていた。

「うん、僕の方こそ、よろしくね、夕花(ゆうか)

 アンドロイドである僕に、本来、感情なんてものは存在しない。しょせん、すべては、膨大な数のデータから算出されたコード。

 ——なのに、なぜだろう。

 君といると、胸の奥が暖かくなる。
 僕はそれが、ずっと不思議だった。

「おやすみ、レイ……ユウと、あの人を、お願いね」
 
 僕が聞いた、最後の言葉。
 あの時も、君は笑っていた。
 まるで、天気雨の降る晴れた青空のように。