「どうだ……これで大体の状況は、理解出来たか? 敵の軍勢は我が軍の倍以上で、しかも、不意打ち。援軍が来るには時間が掛かるだろう。誰しも聞けば驚くほどに、絶望的な状況だ」

 国境にある要所。そこの砦の中、大きな円卓の上に置いた地図を指し示し、ここに居る自分たちが、今どれだけ死に近い状況にあるかを懇々と説明した。

 我がシュレイド王国軍は、この地を守る辺境伯の護衛騎士団と合わせて、やっと三万。対して、ひとつひとつは小国とは言え、三国合わせた連合軍は十万。

 隠され秘密裏に準備されていた不意打ちの襲撃に、我が軍は十分な軍勢で臨めるはずなどなかった。

 しんとした沈黙の中、司令官の俺が最優先にすべきことを言った。