「奥様はお気になさらず。執事として主人の帰りを待つことも、僕の仕事の内です」
彼は私の手を取って馬車へと乗せると、踏み台を片付け前の席へと座った。
クウェンティン本人はああ言っても、私には長時間外で待たせたままであることは抵抗がある。
貴族として使用人の立場を理解していないと言われてしまうかもしれないけれど、アーロンの残してくれた執事クウェンティンは、母の死後、初めて私の味方になってくれた人だった。
「主人の私が、それで良いと言っているのよ。命令は聞けないの? クウェンティン」
私が重ねて彼へ言ったことで、これは逃げられないと観念したのか、クウェンティンは片眉を上げ息をついてから言った。
「かしこまりました。旦那様より自分が居ない時は、奥様が望むことを叶えるようにと申し渡されておりますので。そのようにいたします」
この時、クウェンティンの言葉に少しだけ違和感を抱いたけれど、私は気のせいだろうと思った。
久しぶりに義妹ハンナにも会い、疲労を感じていた私は、夜空の映る窓へと目を移した。
彼は私の手を取って馬車へと乗せると、踏み台を片付け前の席へと座った。
クウェンティン本人はああ言っても、私には長時間外で待たせたままであることは抵抗がある。
貴族として使用人の立場を理解していないと言われてしまうかもしれないけれど、アーロンの残してくれた執事クウェンティンは、母の死後、初めて私の味方になってくれた人だった。
「主人の私が、それで良いと言っているのよ。命令は聞けないの? クウェンティン」
私が重ねて彼へ言ったことで、これは逃げられないと観念したのか、クウェンティンは片眉を上げ息をついてから言った。
「かしこまりました。旦那様より自分が居ない時は、奥様が望むことを叶えるようにと申し渡されておりますので。そのようにいたします」
この時、クウェンティンの言葉に少しだけ違和感を抱いたけれど、私は気のせいだろうと思った。
久しぶりに義妹ハンナにも会い、疲労を感じていた私は、夜空の映る窓へと目を移した。



