だって、私はほんの数日前に幸せになるって決めて、再婚相手を探そうと赤いドレスを着て夜会に出た。

 その気持ちを、思い出すのよ。

 帰って来てくれた夫アーロンとわかり合って幸せになれるとしたら、それが一番良いことだし、話が早いはずだわ。


◇◆◇


 体調が良くなったと執事クウェンティンへ伝えた私は、アーロンが夜会に出席予定であることを知った。

「もしかして……陛下がアーロンのために、祝勝会を開催されるということ?」

 もし、そうならば、スレイデル王国の国民として、とても栄誉あることだ。

「昨夜から奥様は伏せっておりましたので、旦那様は今夜お一人で出席されることを予定されております」

 クウェンティンはそう言って、私の返答を待っていた。

 そうね。つまり、私が今夜一緒に出席するか、どうするかを知りたいのよね。

「まあ……どうしようかしら。私、喪服とあの赤いドレスしか持っていなくて……」

 アーロンと共に出席しようにも、夜会に相応しいドレスがないから出席出来ない。