その夜。




 ワトソンは書類を片付けながら、沈んだ表情の美月を見つめていた。


「美月、あまり思いつめないでくれ。あいつは君を大事に思ってる。」



「……分かってます。でも、私……ただ、助けたかったんです。」


「ホームズのプライドを傷つけたと思ってるんだな?」




美月は小さく頷く。



 ワトソンは微笑み、ティーカップを差し出した。


「彼は冷たく見えるけどな、君のことを守るって決めてる。だからこそ、危険に巻き込みたくないんだ。」




 美月の目が少し潤んだ。



「……そうだといいな。」