ワトソンに事情を話すと、すぐに真剣な表情になり、 「ホームズに知らせるんだ。私は周囲を探してくる!」 と手分けしてくれることになった。 公衆電話に駆け込み、震える手でダイヤルを回す。 受話器の向こうから聞こえた低い声に、胸が熱くなった。 「ホームズさん!……アーサーが、いなくなっちゃったの!!」 「すぐに行く。――そこで待て、美月。」 その声は静かだったけれど、確かな安心を与える音だった。