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「おい、何してんだ」

 その一声でハッとする。確かヒュンと息を呑んで振り返ったら、そこに■■■がいたの。

「それに触るのはダメだって、自分が一番目くじらたててたじゃないか」
「べ、別にいいでしょ。もうわたしが継承したんだから」
「よくないっ。それでどこ行くつもりだよ?」
「どこか、遠く。……あぁそうよっ、母さまのところよっ」
「目を醒ませよ、■■のお母さんは亡くなったんだ。そんなこと■■が一番わかってるだろ」
「わかってるよ! けど、母さまが居ない世界なんて、まるで突然宇宙に放り出された気分なの。もう、息ができない……苦しいんだよ」

 ワナワナと震えたあとで、なんだかどうにも自分自身を抑えられなくて。身体の奥からゴウゴウと沸き上がる感情がどんどん喉よりも上へと這い上がってきていたの。

「――放っといて」

 感情が出口を探していた。流した涙がその場にぼたぼたと落ちて、あっという間に溜まっていた。

「わたしなんか……わたしのことなんか」

 だから、力まかせに叫んだ。

「もう、放っておいてよっ!」

 けどいざ状況をよく見てみたら、もう取り返しがつかなかった。
 ■■■がわたしを制する声も聴こえないくらい、わたしはあのときすべてを見失っていた。アレも制御できない状態になっていたから、遂に強く引き込まれてしまったの。

 それが、懺悔の始まりよ。

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