10月13日(月)
今日は佐田さんの指示で、KOREEDA開発(株)から依頼された「旧・灰月観光ホテル」の追加調査に行きました。
正直、あの調査報告を聞いてKOREEDA開発さんが「購入を検討してもいいかもしれない」って言うとは思わなかったので、びっくりしています。リゾート業界(観光業界?)ってよくわからないなぁ。
追加調査で依頼されたのは
・外側の老朽化チェック(ひび割れなど)
・室内の写真数枚(一階だけでいい。窓から覗いた写真だけでいい)
のふたつ。確実に敷地には足を踏み入れることになるけど、不法侵入なんて気にするなって佐田さんに言われた。調査会社だからいいんだって。(本当ですよね? 信じますよ?)
前回の調査時に出会った杉野くんに連絡したら、ちょうど空いているから現地で会おうってことになりました。(決して不法侵入の道連れが欲しかったわけじゃありません。杉野くんに時給発生しないし)
現地に着いたら、まずはさくっと写真を撮りました。
以下、各写真の説明です。
■外観の老朽化チェック
・一階部分の外壁はやっぱり苔のような緑色が一部にはびこっていました(写真1)
・基礎部分に一カ所ヒビがありました(写真2)
・窓全割れ。アルミの枠は錆びてはいましたが、無理矢理破壊したような破損はありませんでした(写真3・4)
・落ちた看板。留め具が朽ちていたようです(写真5)
・朽ちた雨樋(写真6・7・8)
・外階段はやはり錆びが酷く、一部の踏面が完全に抜けていました(写真9)
・二階のバルコニーの柵に一カ所、布を垂らして出入りしたような妙な歪みがありました(写真10)
■室内の写真数枚
・正面玄関から奥を覗き込んだ景色(写真A)
・南側の割れた窓から手を突っ込んで撮影(写真B)
・北側の従業員用と思しき勝手口のようなドアの窓部分からカメラを覗かせて撮影した景色(写真C)
(ピント調整が難しいため全体的に荒いです、すみません)
車に戻り(調査物件のほぼ目の前に路駐してました)写真の整理とこの記録作業をしていたら、中から人が出てきました。
茶色いボブヘアの女性で、かなり若い人だと思いました。白いロングスカートに真っ赤なジャケット。上下の組み合わせも季節も合っていないような気がしました。
その女性は手ぶらで出てきて、僕の車のすぐ横を通っていきましたが、僕には気づいていないようでした。随分ぼうっとした顔だった気がします。
助手席に乗せていた杉野くんとお喋りをしながら待ってみましたが、女性は二時間経っても帰ってきませんでした。
午前の活動はここまでです。
午後、再び近隣住民への聞き込みをする合間に、杉野くんがある動画を見せてくれました。
前回約束していた「灰月温泉が舞台ではと噂されている作品」に関する動画です。
ある男性VTuberさんが2年前に行った、ゲーム実況配信のアーカイブでした。
初回だけでも4時間以上あったので全部は見ませんでしたが、この探索系のホラー風ゲームが「灰月温泉が舞台ではと噂されている作品」なんだそうです。作中では「星霧温泉」という名前になっていました。
廃ホテルの中を幽霊になって探索し、自分の遺体と自分を殺した犯人を捜す、というシナリオらしいです。全体的に暗いので、怖くて画面はあまり直視できませんでした。
これはどの程度有名な話なのか、と杉野くんに訊ねました。
この男性VTuberのチャンネル登録者数は3万人ちょっと。それに対してこの動画の再生回数が8万回。杉野くん曰くこの数字は「界隈でプチバズしてはいるが、VTuberやゲームを知らない層にまで有名とは言えない」という状態だそうです。KOREEDA開発さんは知らないかもしれません。
僕は次に、杉野くんはどこでこの動画を知ったのか聞いてみました。同じ大学に通う彼女さん経由だそうです。
聞き込み(といっても、新しい情報はあまりありませんでした。あの「旧・灰月観光ホテル」の調査に来ているのは、今のところ僕だけらしいです)を終えたあと、僕はもう一度車を朝と同じ場所に停め、あの茶髪の女性が再び通らないか待ってみました。
一時間ほど待ってみましたが、現れませんでした。車から降りて建物に近づき、中の音に聞き耳を立ててもみましたが、足音一つ聞こえませんでした。
車に戻る途中で、派手にこけて、服と顔が泥だらけになりました。そういえば昨夜酷い雨が降っていましたね。土にかなりの水が残っていたようです。
杉野くんから「お土産屋さんで着替えを買って、隣の日帰り温泉に入ってから帰ったら?」と勧められたので、そうしようと思います。杉野くんはこのあと予定があるらしいので、温泉には一緒に入らないそうですが。
午後の調査記録は以上です。
杉野くんから教わったVTuberのゲーム配信は、一応アーカイブを追い切ったほうがいいと言われたので、ちまちまとでも最後まで見てみようと思います。

