皆様どうも。部長のはっちゃん(文学部4年・掲載作品「神無月のミルキーウェイ」85P)です。
 そんなこんなで(?)今年も無事大学祭に部誌を出すことができました~!編集後記を作れるということは、編集が概ね終わりそうであるということ。この時点でわたしは既に感極まっています。
初めて手に取ってくださったあなたも、過去の部誌をご存知で「今年はどんなクオリティだろうか」と審査する気持ちでお買い上げくださったあなたも、ありがとうございます。今年はメンバー20人中8人が就活、1人が終わらない卒業制作、1人が落とした必修単位を全力で拾い直しに行くという名目の諸般の事情……という、様々な事情により欠席だったため、クオリティ面と同時にボリューム面でも不安があったのですが、残った参加者10名(わたしを含む)が書き切ってくれました。良作ぞろいです。
 10名には6月の定例会で「今年の部誌は規定の最低文字数が大幅に増えます」と伝えました。その時のわたしの姿はまるで殲滅戦を宣言する司令官のようだった──と、のちにグッシー(経済学部2年・掲載作品「転生したらゴジラVSガンダムの監督になりたかった件」52P)に言われました。ごめんね。でも殲滅戦を宣言する司令官がどんなもんかわからないから必要な謝罪の具合もわからないや。

 さて、年に1回しか発行しない部誌。つまりこれはわたしにとって最初で最後の編集後記。
 せっかくなのでひとつ思い出を記しておこうと思います。
 9月に、県外の温泉街で原稿合宿をしました。執筆者全員で合宿したのはわたしの入部以降初めてのことです。
 せっかくいつもより大変なボリュームの執筆をするのだから、どうせなら楽しもう。全員が謎の小説家を演じて「小説家が集団で原稿缶詰合宿をしていると思わせるごっこ遊び」をしよう。そう発案したのはひらりん(法部4年・掲載作品「シンデレラだって赤い靴がいい」23P)でした。
ひらりん、発案ありがとう。言い出しっぺだからって宿の手配もしてくれてありがとう。あなたが考えた「その日一番執筆量が少なかった人は架空の編集担当と電話する演技をしながら廊下を三往復する」という罰ゲーム、とても怖くてよかったです。
 合宿中は基本的に執筆に追われていましたが、それでも合間でちょっとは温泉街の観光もしたし、美味しいものも食べられたので、楽しかったです。
食べ物でいちばん好きだったのは白餡のお饅頭。
景色でいちばん好きだったのは、温泉街の裏手にある山の中で偶然見つけた絶景スポット。
白い彼岸花と遠くの水平線が同時に見える景色はなかなか素敵でした。灰月温泉、とてもいい。
 そういえば、こばっち(教育学部1年・掲載作品「XXX年の冬に、君と」41P)はこっちに帰って原稿を仕上げたあと、もう一度ひとりで灰月温泉に行ったとかなんとか。噂によると、行ったきり帰ってきてなくて、合宿で泊まったのとは別のどこかの宿で住み込みバイトをしているらしいとか……後期の履修登録大丈夫だったのかしらあの子。よほど気に入ったんだなぁ。
 きっとこれからの人生の中でいろんな温泉街に行くと思うけれど、その度にこの夏に見た灰月温泉の景色と比べてしまうんだろうなぁと思います。
 お揃いの宿の浴衣。観光と生活が8:2ぐらいで同居している街並み。様々なリズムで鳴るパソコンのタイプ音。街を一歩離れたらすぐに広がる大自然。疲れて脳がショートした結果、泥酔と大差ない姿になって転がった、仲間たちの死屍累々。
 ネタを探しに、と言って深夜に散歩に出た一年生たちが「人が居る廃墟があった」ってガタガタ震えながら帰ってきたのも面白かったな。廃墟は無人だから怖いんであって人が居るなら怖くないのよ、うん。
 あの灰月温泉で、わたしたちは間違いなく、青春をしていました。いつかこれが「懐かしい」になるんだなぁと、今、彼らから回収した原稿を格納したフォルダを眺めながら思っています。
 こんなに思い出や思い入れをたっぷり詰め込んだ部誌「かえで」も、来年にはバックナンバー、4年後や10年後には、歴史と呼ばれて仕舞いこまれていることでしょう。
 それでいいと思う反面、そうなる前に、この中にたくさん詰め込まれた文章のいずれかが(あるいはこの冊子そのものが)誰かの心に何かを残せたらいいなと、部長として願っています。


文責:長谷川葉月(文学部4年)