「一緒に行こう」 その一言だけ伝えられなかった。 夏恒例の地元の花火大会。 『行きたいね』とか『ここが穴場』なんて話はたくさんしたのに。 大輪が夜空に咲く音に後悔が募り、たまらず家を飛び出した。 しばらく走って息が切れた坂の上。 「あっ」 いつだか教えたとっておきの場所。 浴衣姿の彼女が笑った。 『一緒にみたくて』 ===============