***
アンリがフェマリー国に来て二週間ほどが過ぎ、アンリも徐々にこの世界に慣れてきた、そんな今日。学園がお休みということもあり、アンリとフレッドは練習部屋で朝からダンスの練習をしていた。
「今回はかなり良かったと思いますよ」
「だよね、今まで躓いていたところもできるようになったし」
「では次は少し手法を変えてみましょうか」
「え、今から?」
「本番は今までの練習のように一人で踊るわけじゃありませんから。本来、パートナーの方と踊るんです」
「あ、そっか」
今までずっと鏡の前で横並びで練習していたからすっかり忘れてたが、二週間後の舞踏会本番は誰かと一緒に踊らないといけないんだ。だが二週間かけてようやくステップを覚えたばかりなのに、今から練習の方法を変えて間に合うのだろうかとアンリは一抹の不安を覚える。
フレッドはアンリの一瞬の顔色の変化を汲み取ってか、アンリを安心させるように「大丈夫ですよ」とより一層、柔らかい口調で微笑みかける。
「誰かと一緒に踊るからといって何か難しい動作が増えるわけじゃありません。口で説明するより、実際にやってみましょうか」
そう言うとフレッドはアンリの真っ正面に向き合うように立つ。二人の間にはおよそ三歩分くらいしか空いてない。
「私の左手とアンリ様の右手は手を繋ぐようにして、肩より少し上に上げます。もう片方の手はお互いの腰に添えるように…」
フレッドは優しくアンリの右手を取ると、もう一方の手は腰に当てる。フレッドの接触により、さっきよりもかなりの近距離で向き合っている。
普段ミンスが腕にくっついてくることがあっても、それに対しては可愛いと思うだけで変に緊張することはない。だが改めて男の子とこんな至近距離で向き合うとアンリの心臓はバクバクと変な音を立て始める。
そんな緊張を隠すように恐る恐る左手をフレッドの腰に当てると、フレッドはおかしそうに笑う。
「アンリ様、ガチガチですよ。緊張しているのですか?」
「そりゃあ緊張するよ。こうして男の子に触れたことなんて無いし…」
「そうでしたか。ではまずリラックスしましょう」
「リラックスなんて、できないよ。それに踊る時もこの距離、なんだよね?」
「えぇ、そうですよ」
「もし途中で相手の足を踏んじゃったらどうしよう」
「ふふ、心配なさらなくて大丈夫ですよ。基本的に貴族の方は幼い頃からダンスの練習をしていますから。きっとアンリ様のお相手の方もリードしてくれると思いますよ。それに練習で私の足を踏む分には全く問題ありませんから」
「練習でもダメだよ、絶対に踏まない。私のせいでフレッドに怪我をさせちゃったら嫌だもん」
「アンリ様はお優しいですね。さぁ、では練習の続きを始めましょう」
アンリがフェマリー国に来て二週間ほどが過ぎ、アンリも徐々にこの世界に慣れてきた、そんな今日。学園がお休みということもあり、アンリとフレッドは練習部屋で朝からダンスの練習をしていた。
「今回はかなり良かったと思いますよ」
「だよね、今まで躓いていたところもできるようになったし」
「では次は少し手法を変えてみましょうか」
「え、今から?」
「本番は今までの練習のように一人で踊るわけじゃありませんから。本来、パートナーの方と踊るんです」
「あ、そっか」
今までずっと鏡の前で横並びで練習していたからすっかり忘れてたが、二週間後の舞踏会本番は誰かと一緒に踊らないといけないんだ。だが二週間かけてようやくステップを覚えたばかりなのに、今から練習の方法を変えて間に合うのだろうかとアンリは一抹の不安を覚える。
フレッドはアンリの一瞬の顔色の変化を汲み取ってか、アンリを安心させるように「大丈夫ですよ」とより一層、柔らかい口調で微笑みかける。
「誰かと一緒に踊るからといって何か難しい動作が増えるわけじゃありません。口で説明するより、実際にやってみましょうか」
そう言うとフレッドはアンリの真っ正面に向き合うように立つ。二人の間にはおよそ三歩分くらいしか空いてない。
「私の左手とアンリ様の右手は手を繋ぐようにして、肩より少し上に上げます。もう片方の手はお互いの腰に添えるように…」
フレッドは優しくアンリの右手を取ると、もう一方の手は腰に当てる。フレッドの接触により、さっきよりもかなりの近距離で向き合っている。
普段ミンスが腕にくっついてくることがあっても、それに対しては可愛いと思うだけで変に緊張することはない。だが改めて男の子とこんな至近距離で向き合うとアンリの心臓はバクバクと変な音を立て始める。
そんな緊張を隠すように恐る恐る左手をフレッドの腰に当てると、フレッドはおかしそうに笑う。
「アンリ様、ガチガチですよ。緊張しているのですか?」
「そりゃあ緊張するよ。こうして男の子に触れたことなんて無いし…」
「そうでしたか。ではまずリラックスしましょう」
「リラックスなんて、できないよ。それに踊る時もこの距離、なんだよね?」
「えぇ、そうですよ」
「もし途中で相手の足を踏んじゃったらどうしよう」
「ふふ、心配なさらなくて大丈夫ですよ。基本的に貴族の方は幼い頃からダンスの練習をしていますから。きっとアンリ様のお相手の方もリードしてくれると思いますよ。それに練習で私の足を踏む分には全く問題ありませんから」
「練習でもダメだよ、絶対に踏まない。私のせいでフレッドに怪我をさせちゃったら嫌だもん」
「アンリ様はお優しいですね。さぁ、では練習の続きを始めましょう」

