彼岸花一輪

それは高校1年の2学期が始まり、1ヶ月が経とうとしていた頃……。
残暑が少しずつ和らぎ、秋の訪れを告げ始めていた。
放課後。
多くの生徒が部活動に精を出し、部活に入っていない生徒は早々に帰宅するか、バイトやもしくは仲の良い者同士が教室に残ったり、ファミレスやファーストフード店等でお喋りに花を咲かせるか……各々が思い思いに過ごす中、僕は学校の図書室に向かった。
僕は幼少期から本が好きで、部屋の隅で1人……ずっと本を読んでいる子だった。
それは高校生になった今でも変わらず……図書室で本を借りては学業の傍ら、読書をすることが日課となっていた。
この日も本を返却した後、シーンと静まり返った図書室の中で本を探し回り、気になった一冊を手に取った。
どんな本だろう……。
興味津々で1ページ、また1ページ……と、本をめくっていった。
気がつけば図書室は赤橙の西日が差し込み、部屋を染めていた。
やばっ……。
夢中になりすぎた!
さほど多くはないバスの本数。
しかも、乗り遅れれば30分以上待たなければならない……。
通学時間片道2時間かかる僕は急いで本を借り、学校近くのバス停へと走ったーー……。