「旦那様から、力のない公主だと聞いていませんか? 力がないとは、そのままの意味。力のない女たちは、後宮では存在していないと同義です」
「でも、公主なら……」
「王の関心がない人間に、配慮する者などおりません。王の寵愛こそが、女たちの唯一の武器であり、盾。それがなければ、公主であろうと、ただの道具。牛や馬と同じです」
それらが、阿扇の頭の中で、意味を結ぶのに数瞬を要した。思考が、止まる。
「後宮は、力のない者は生き残れない。力がなければ、待つのは死、のみ。美しさも、教養も、何の役にも立ちません。ただ、力を持ち、その力を利用して生き残るしかない場所なのです。衣より、簪よりも、わたくしは……姉上とともに、その日を生き延びる 糧が欲しかった」
玉蓮は、遠い目をしながら語った。確かに、玄済国の王に贈られてくるということは、そのまま死を意味すると言ってもいい。昨夜、崔瑾に訴えた自分の言葉が今になって、己の心の臓を締め付けて、呼吸が浅くなる。
「……失礼、しました」
謝罪の言葉を紡ぎ、深く頭を下げた。阿扇は、思わず口の中を噛んだ。血の味がする。その苦みが、玉蓮の言葉の重みをさらに増幅させる。
「でも、公主なら……」
「王の関心がない人間に、配慮する者などおりません。王の寵愛こそが、女たちの唯一の武器であり、盾。それがなければ、公主であろうと、ただの道具。牛や馬と同じです」
それらが、阿扇の頭の中で、意味を結ぶのに数瞬を要した。思考が、止まる。
「後宮は、力のない者は生き残れない。力がなければ、待つのは死、のみ。美しさも、教養も、何の役にも立ちません。ただ、力を持ち、その力を利用して生き残るしかない場所なのです。衣より、簪よりも、わたくしは……姉上とともに、その日を生き延びる 糧が欲しかった」
玉蓮は、遠い目をしながら語った。確かに、玄済国の王に贈られてくるということは、そのまま死を意味すると言ってもいい。昨夜、崔瑾に訴えた自分の言葉が今になって、己の心の臓を締め付けて、呼吸が浅くなる。
「……失礼、しました」
謝罪の言葉を紡ぎ、深く頭を下げた。阿扇は、思わず口の中を噛んだ。血の味がする。その苦みが、玉蓮の言葉の重みをさらに増幅させる。

