紙芝居「キジと空の鳥たち」始まり始まりー!
むかしむかし、
ひろい森のむこうに、
おおきな どうぶつたちが すんでいました。
ライオンは 金のたてがみを ゆらしながら、
「ここは わたしの森だ」と ほえました。
ワニは じめじめした川で じっとして、
水をのみにきた鳥を ぱくりと のみこみました。
ゴリラは 山のてっぺんで むねをどんどんたたき、
「オレの力が いちばんだ!」と さけびました。
でも 目の奥には、すこし さびしそうな光が ゆれていました。
オオカミは 群れで歩きながら、
「どこまでが おまえの森? どこからが オイラの森?」と
いたずらっぽく 笑いました。
そんな森のはずれに、
ちいさな キジが 一羽 いました。
ほかの鳥たちは みんな檻(おり)の中。
うたうことも、飛ぶことも、わすれてしまっていました。
キジは 檻のそばに そっと近づいて、
こえを ひそめて いいました。
「空は、だれのものでもないんだよ。」
鳥たちは びっくりしました。
でも、キジの目は やさしくて、
どこかで ほんとうの空の色を 知っているようでした。
その夜、森に おおきな嵐(あらし)がきました。
風が うなり、木が ゆれ、
ライオンも ワニも ゴリラも オオカミも、
あわてて かぎを おとしてしまいました。
カチャン。
檻の扉が ひらいたのです。
「いまだよ!」と キジがさけびました。
孔雀(くじゃく)は 羽をひろげ、
サイチョウは 森のむこうへ、
ジャングルフライは 雨の中を まっすぐに。
空いっぱいに 羽のいろが ひろがりました。
にじが のびて、
風が うたっていました。
キジは 嵐の中でおおけがをして、
地面にすわりこみました。
けれども 空を見あげると、
そこには とりたちの 笑い声が ありました。
キジは そっと つぶやきました。
「それで いいんだ。
空がにぎやかなら、
世界は まだ いきている。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
真理は、手話で「空」を示し、
天を仰ぎました。
講堂で物語を聞いた子供たちの中の一人が、手を小さく握りしめて心の中でつぶやきました。「キジさんはどうなっちゃうの?」
講堂に響く拍手に真理はそっと微笑む。物語は集まった子供たちの胸の中で灯火となり、想いが次の未来へ渡されていくのを願う。
手話ナレーターのボランティアを続ける真理。彼女の声はまだ戻らない。
END
むかしむかし、
ひろい森のむこうに、
おおきな どうぶつたちが すんでいました。
ライオンは 金のたてがみを ゆらしながら、
「ここは わたしの森だ」と ほえました。
ワニは じめじめした川で じっとして、
水をのみにきた鳥を ぱくりと のみこみました。
ゴリラは 山のてっぺんで むねをどんどんたたき、
「オレの力が いちばんだ!」と さけびました。
でも 目の奥には、すこし さびしそうな光が ゆれていました。
オオカミは 群れで歩きながら、
「どこまでが おまえの森? どこからが オイラの森?」と
いたずらっぽく 笑いました。
そんな森のはずれに、
ちいさな キジが 一羽 いました。
ほかの鳥たちは みんな檻(おり)の中。
うたうことも、飛ぶことも、わすれてしまっていました。
キジは 檻のそばに そっと近づいて、
こえを ひそめて いいました。
「空は、だれのものでもないんだよ。」
鳥たちは びっくりしました。
でも、キジの目は やさしくて、
どこかで ほんとうの空の色を 知っているようでした。
その夜、森に おおきな嵐(あらし)がきました。
風が うなり、木が ゆれ、
ライオンも ワニも ゴリラも オオカミも、
あわてて かぎを おとしてしまいました。
カチャン。
檻の扉が ひらいたのです。
「いまだよ!」と キジがさけびました。
孔雀(くじゃく)は 羽をひろげ、
サイチョウは 森のむこうへ、
ジャングルフライは 雨の中を まっすぐに。
空いっぱいに 羽のいろが ひろがりました。
にじが のびて、
風が うたっていました。
キジは 嵐の中でおおけがをして、
地面にすわりこみました。
けれども 空を見あげると、
そこには とりたちの 笑い声が ありました。
キジは そっと つぶやきました。
「それで いいんだ。
空がにぎやかなら、
世界は まだ いきている。」
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真理は、手話で「空」を示し、
天を仰ぎました。
講堂で物語を聞いた子供たちの中の一人が、手を小さく握りしめて心の中でつぶやきました。「キジさんはどうなっちゃうの?」
講堂に響く拍手に真理はそっと微笑む。物語は集まった子供たちの胸の中で灯火となり、想いが次の未来へ渡されていくのを願う。
手話ナレーターのボランティアを続ける真理。彼女の声はまだ戻らない。
END



