だから僕は柊太が、そして風歌がどうなったかは知らないままだった。
 いや、実際のところ、知りたくなかったのかもしれない。

 両親に乞われて、僕が再び故郷の地を踏んだのは、戦争終結からおよそ十年後だった。
 こちらから聞かなくとも、同窓会の場で噂として聞こえてきたのは、柊太が戦後も帰郷せず、風歌もまたその名の通り、いつのまにか風か歌のように姿を消し、もうこの街にはいないということだけだった。

 あの戦争がなければ、何も変わらず今も三人が一緒でいられただろうか。
 その答えは分からない。
 僕はどうすれば良かったのだろうか。
 柊太が義を感じて軍に入ろうとすることを止めるべきだったというのだろうか。
 そして、僕は僕で風歌に想いを告げて判断を迫るべきだったとでも……。
 それも、今となっては分からないことだ。