柊太は、勉強もスポーツもできたから、風歌に限らず、多くの女子生徒の目を引いているようだった。
 僕は、その様子をさらに輪の外から見るようになったが、その頃には三人で一緒に会って話したり遊んだりすることもなくなっていた。

 たまに顔を合わせると、他の誰かよりは親しみを込めて声を掛け合うくらいで、僕ら三人のすれ違いがはっきりしてきていた。

 柊太は進学塾や部活で時間に追われているようだったし、風歌もさすがに女子グループの中にいることが多くなっていた。
 僕はというと小さい頃からの読書好きが高じて、図書館や書店に足繁く通い、いつも本を手に風歌とのことを思い描きながら一人ぼっちで歩いていた。

 そして、そのまま僕らは大人になって、自然とばらばらの人生を歩んでいくのだ。
 少なくとも僕はそう思っていた。