柊太、風歌、そして僕。

 僕らは三人とも、同じ街で生まれ、出会い、そして育った。
 学校が終わるとよく一緒に帰ったし、週末遊ぶときもほとんど三人で過ごしたし、夏休みの宿題を追い込むのに集まったのもこの三人でだった。
 ついでに、僕が家出をやらかしたとき、あとの二人も付き合って電車に揺られて都心に出たのも、今では良い思い出だ。

 高校生に上がっても、三人は同じだった。

 僕らは、いわば盟友のようなものだったかもしれない。 
 
 そのあいだに、風歌は柊太が好きになり、僕は風歌が好きになった。
 それを知らないのは柊太だけだった。
 
 ちなみに柊太に想い人がいたのかどうかは、僕も風歌も知らない。